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第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 我が国ICT産業の国際競争力強化に向けた方向性

(3) 企業の新陳代謝に乏しい日本

一方で、我が国は企業の新陳代謝が他国に比べ低いとの指摘もある。世界におけるICT企業の上場数を企業国籍別に経年推移で見てみると、我が国は1979年以前の上場企業が大半を占めている一方で、米国はその後も多くの企業が上場しつづけており顕著な差として表れている。また、1990年代より前述の中国や香港等企業が増加していることも特徴的である(図表2-3-1-7)。

図表2-3-1-7 世界のICT企業の上場数推移(企業国籍別)
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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これをさらに産業レイヤーで分けて推移を比較すると、地域によって顕著な違いがみられる。前述で多くの企業が上場しつづけている米国では徐々にデバイス製造業の上場は比率が下がり、コンテンツやプラットフォーム関連の比率が増してきている。対する中国ではデバイス製造企業が上場し続けており、当該分野が現在も存在感があることがうかがえる(図表2-3-1-8)。

図表2-3-1-8 世界のICT企業の上場数推移(企業国籍別・レイヤー別)
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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また、FT US/EU/Japan 500にランクインしているICT企業数を会社設立時期(年代)で見ても同様の傾向を示しており、我が国は1930〜1950年頃に山があり戦前〜戦後直後に設立された企業が多い傾向にあるが、米国や欧州は1970〜90年代の比較的新しい企業が多い状況にある。また、同様に企業の価値を示す1つの指標となる株式時価総額で比較してみると、これら1970〜90年代以降の新興企業が企業価値も伸ばしている状況にある(図表2-3-1-9)。

図表2-3-1-9 ICT企業の設立時期の分布(FT500)
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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さらに全業種における開業率と廃業率を比較してみると、各国の統計の性質が異なるため単純比較は留意が必要であるが、海外は共に8〜12%前後で推移しているのに対し、我が国は共に4%台で推移しており、前述の傾向がここにも表れている。これらのことからも、欧米では企業の新陳代謝が進み若い企業が存在感を持っているのに対し、我が国においては新陳代謝があまり進んでいないことがうかがえる状況となっている(図表2-3-1-10)。

図表2-3-1-10 各国の廃業率と開業率
(出典)中小企業庁「2014年版中小企業白書」(平成26年)
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