●情報通信産業の市場規模は、全産業中で最大規模の8.9%
平成24年の情報通信産業の市場規模(名目国内生産額)は81.8兆円で全産業の8.9%を占めており、情報通信産業は、全産業の中で最大規模の産業である(図表5-1-1-1)。その推移をみると、平成12年から平成17年まではほぼ横ばいであったが、平成20年以降は他の多くの産業と同様に減少してきた。特にリーマンショック時の平成21年に大きく落ち込み、平成24年も引き続き減少している1(図表5-1-1-2及び図表5-1-1-3)。
一方、平成17年価格による主な産業の市場規模(実質国内生産額)の推移をみると、情報通信産業は他の多くの産業と同様に、平成22年に増加をしたものの、平成24年では昨年に続き減少している(図表5-1-1-2)。情報通信産業の市場規模(実質国内生産額)は平成24年時点では前年比0.6%減少の96.9兆円であり、わずかに減少している(図表5-1-1-3)。なお、平成7年から平成24年までの年平均成長率は2.5%であった。
1 情報通信産業の国内生産額は、平成23年から24年にかけて、名目で約7,610億円減少している。この減少に大きく寄与したのは、固定電気通信とラジオ・テレビ受信機であり、減少幅はそれぞれ約7,630億円と5,500億円となっている。
固定電気通信については、平成20年(生産額は約3.8兆円)以降、一貫して減少を続けてきた。平成20年の生産額を100とすると、平成21年から24年までの値は、それぞれ97.8、92.5、87.7、76.5であり、直近において減少のトレンドが加速したことが確認される。
ラジオ・テレビ受信機のうち、テレビ受信機の国内生産推移を、鉱工業指数にある薄型テレビの月次生産指数により分析すると、地上波テレビ放送のデジタル移行完了(平成23年7月、被災3県を除く)の1年ほど前から下降を始め、デジタル移行完了後も1年以上の間、生産の減少に歯止めはかかっていない。この背景として、地デジ移行完了による買い替え需要の減少という特殊要因に加え、海外メーカーとの厳しい価格競争で収益を減少させた家電大手が、国内テレビ生産から撤退したことが挙げられる。