米国の調査会社IDCによると、国際的なデジタルデータの量は飛躍的に増大しており、2011年(平成23年)の約1.8ゼタバイト(1.8兆ギガバイト)から2020年(平成32年)には約40ゼタバイトに達すると予想されている(図表3-1-1-1)。
このようにデータ量が増加の一途をたどる背景として、ネットワークやデバイスが高度化し、かつ、生活や経済行動に欠かせないインフラとして、国内外を問わず定着してきている点が挙げられる。例えば、インターネットは社会基盤として定着しており、我が国では平成25年末のインターネット利用者数は1億44万人、人口普及率は82.8%に達している。また、新興国におけるインターネットの普及が進んでおり、2007年(平成19年)から2012年(平成24年)までの5年間でもアフリカでは317%の増加、中東では294%の増加を示すなど、急速に浸透している(図表3-1-1-2)。
また、モバイルインターネットの基盤となるスマートフォンの普及が世界規模で急速に進んでいることは、第1章第1節において紹介した通りである。さらに、ICカード(交通系・流通系)の普及は、乗降履歴や購買履歴といった情報の大量生成につながっている。
ハードウェアの性能も日々進化を続けている。CPUの速度、ストレージの容量、ネットワークの速度は指数関数的に進化しており(図表3-1-1-3)、コンピュータの演算速度の向上と相まって、より大容量のデータを伝送・蓄積し、より短時間での分析が可能となっている(図表3-1-1-4)。
さらに、データの収集を可能とするセンサーも小型化、低消費電力化、低価格化により普及が進んでいる状況にある。図表3-1-1-5は関係各社による今後の年間出荷予測であるが、2010年代後半には年間1兆個の出荷を目指す企業も登場している。
以上で述べたネットワーク及びデバイスの性能向上や普及に加えて、ソーシャルメディアの普及やクラウドの普及といったサービス面における進化も、大量のデジタルデータの生成・流通・蓄積を後押ししている状況にある。
さらに、ウェアラブル端末に代表される新たな通信デバイスの登場や、M2M/IoT技術の進化により、自動車や住宅といったこれまで通信とは縁遠いものと思われてきたものが、今後、「スマートカー」や「スマートハウス」として通信と密接な存在となることで、データを大量に生成することが予想される1。
1 米国の通信機器ベンダCiscoによると、2020年にはインターネットに接続する機器が全世界で500億台を超えるとのこと。