総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > G空間情報の活用に係る地方公共団体の認識
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第1節 様々な価値を生み出すビッグデータ

(1) G空間情報の活用に係る地方公共団体の認識

地方公共団体が多く保有するG空間情報を活用する手段として、GIS(地理情報システム)は欠かせないツールであり、総務省ではGISの普及に努めてきた。今回、地方公共団体を対象としたアンケート調査等では、GISの整備や活用の状況について尋ねた。

ア 統合型GISの利用状況(総務省「地方自治情報管理概要」から)

統合型GISは、地方公共団体が税務部局、都市計画部局、防災部局など庁内の複数部局でGISを共用するものであるが、その導入に当たっては、業務執行の効率化を図るため基盤地図情報に係る項目を含む「共用空間データ」(庁内で共用できる電子地図データ)の整備を促進することとし、国は技術的支援や補完的な財政措置を行うこととなっている。

総務省「地方自治情報管理概要(平成26年)」によれば、統合型GISの導入率(平成25年4月現在)は、都道府県では40.4%、市区町村では44.8%となっている(図表3-1-4-1)。

図表3-1-4-1 統合型GISの導入率
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
「図表3-1-4-1 統合型GISの導入率」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

また、統合型GISの利用業務について尋ねたところ、都道府県では「農林政」(94.7%)、「環境」(89.5%)、「教育」(84.2%)の順になったのに対し、市区町村では「道路」(64.4%)、「固定資産税」(63.5%)、「消防防災」(59.7%)の順となった(図表3-1-4-2)。

図表3-1-4-2 統合型GISの利用業務(複数回答)
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
「図表3-1-4-2 統合型GISの利用業務(複数回答)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

一方、統合型GISの導入予定がないと回答した団体に対し、統合型GISの導入の妨げとなっている要因について尋ねたところ、都道府県・市区町村ともに「財政状況」や「人材不足」を理由に挙げる団体が多く見られた(図表3-1-4-3)。

図表3-1-4-3 統合型GIS導入の阻害要因(複数回答)
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
「図表3-1-4-3 統合型GIS導入の阻害要因(複数回答)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
イ GISの利用状況(地方公共団体向けアンケート調査23から)

GISの利用用途について、今後、どのような分野への拡大を希望するか尋ねたところ、前回に引き続き防災分野との回答が突出して高く8割を超す回答となった。続いて、都市インフラ分野、観光分野、医療・介護・福祉分野、防犯分野の順となった(図表3-1-4-4)。

図表3-1-4-4 GISの用途拡大希望分野
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成26年)
「図表3-1-4-4 GISの用途拡大希望分野」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

GISの利用を拡大するにあたっての課題について尋ねたところ、「財政状況が厳しい」が約6割で最も高く、次いで、「部門横断的に共通利用できるシステムの整備が進んでいない」、「庁内推進体制が不十分」、「職員のスキル(操作、分析・活用能力など)や活用に係るソフト/ツール類が不十分」といった回答が前回に引き続き上位を占める結果となった(図表3-1-4-5)。

図表3-1-4-5 GIS利用拡大の課題
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成26年)
「図表3-1-4-5 GIS利用拡大の課題」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

最後に、GISに期待する効果について尋ねたところ、「業務効率化」が最も高く、「サービスの質向上」、「各種の計画・判断の向上」が続いている点は前回の調査と同じ結果となった。地方公共団体がGISに対し、内部管理の合理化・効率化と住民サービス向上の両面を期待する点は変わっていないと言えよう(図表3-1-4-6)。

図表3-1-4-6 GISに期待する効果
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成26年)
「図表3-1-4-6 GISに期待する効果」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


23 全国の市区町村1,742及び都道府県47の計1,789団体を対象にアンケートを実施。うち、733団体から回答があった(回収率41.0%)。具体的には「各分野におけるICT利活用の状況」「G空間情報の活用、オープンデータ、マイナンバー制度、ICTを活用した街づくりに関する地方公共団体の意識と取組」を主な調査項目として設計した。付注5も参照されたい。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る