昭和62年版 通信白書

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1 暮らしと通信利用の変化

 今日の暮らしの中の通信の利用形態の特徴としては,メディアの利用目的の多様化と企業から個人への通信の増大が挙げられる。
 (メディアの利用目的の多様化)
 今日の暮らしの中では,メディアの利用目的が多様化している。例えば,テレビについてみると,昭和31年に総理府が実施した「マス・コミュニケーション」に関する世論調査では,テレビを見たことのある人がよく見る番組として,「スポーツ番組」(37%),「演芸・演劇番組」(16%)が,「ニュース番組」(10%)を上回っていた。しかし,その後,テレビの普及が進むにつれて,報道番組,教育・教養番組,さらにはローカル番組等も逐次充実され,総合的内容をもったメディアへと発展してきた。そして近年においては,番組内容では報道番組の割合が高まっている(第2-1-1図参照)。62年に総理府が実施した「暮らしと情報通信に関する世論調査」(以下「62年世論調査」という。)においても,テレビ視聴の目的として「ニュースを知るため」(83.2%)が「娯楽のため」(73.1%)を上回るなど,テレビジョン放送開始当時とは異なって,報道番組のウェイトが高まっている。
 また,CATVについてみると,自主放送を行う施設数が51年度末の
22から61年度末には108と増加しており,当初の難視聴解消から多目的利用へと進展している。
 さらに,電話の利用目的については,「通知・連絡」,「おしゃべり」,「近況報告」,「あいさつ・儀礼」等の割合が高くなっており,利用目的は多様になっている。
 こうした現象の背景としては,国民生活の向上や価値観の多様化等の
影響とともに,これらのメディアの発展自体が利用の多様化を可能にしたことが挙げられる。
 (企業から個人への通信の増大)
 「企業から個人へ」の通信と「個人から企業へ」の通信とを比べる
と,「企業から個人へ」の通信量が増大し,また,その通信の内容も多様化の傾向にある。
 例えば,郵便利用は,第2-1-2図のとおり,私人差出し―事業所受取りの郵便物数は減少傾向にあり,事業所差出し―私人受取りの郵便物数は増加している。また,電気通信については,企業間の利用が中心であるデータ通信等が大きく伸びており,62年世論調査では,電話について困ることとして「しつこい売り込み電話がある」との回答が38.6%に上っていることから,企業による電話の利用が伸びていると考えられる。

第2-1-1図 テレビジョン放送の番組種目別編成比及び視聴時間比

第2-1-2図 事業所一私人間の郵便物数の推移
 

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