昭和61年版 通信白書

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3 通信ネットワークの結合

 通信ネットワークは,これまで郵便,電気通信及び放送が,それぞれの枠内で固有のサービスを提供しながら発展してきた。しかしながら,通信技術の進展は,個々の通信ネットワークの機能を拡充させるとともに,構成要素の共用,相互の接続等,通信ネットワークの結合を可能とした。また,一方で,通信ネットワークの機能の融合化もみられるようになった。こうして,個々の高度化した部分を組み合わせて,高度化・多様化するニーズにこたえることができるようになった。
 第2-3-16図は,通信ネットワークのハード的結合の一形態を概念図として表したものであるが,これらの具体例について以下に述べることとする。
 (有線放送電話網)
 これらの中で最も古いものとして,有線放送電話網がある。有線放送電話網の構成要素のうち,有線放送電話設備は,放送におけるセンターの機能と電話における交換機の機能を併せもっており,また,端末も,放送と電話の両機能を兼ね備えている。さらに接続有線放送電話は,ロ一カルな有線放送電話網と,全国規模の電話網を結合させたもので,有線放送電話網に面的な広がりを可能としたものである。
 (テレビジョン伝送を行う専用線)
 NHKの全国向け放送を行うような場合には,専用線を用いて番組伝送を行っている。
 これをネットワークの視点からみると,電気通信ネットワークが複数のローカル放送ネットワークを結合しているものである。
 (CATV網)
 CATV網をネットワークの結合の視点からみると,無線によるテレビジョン放送を受信し,テレビジョン放送網とは別の有線ネットワークにより,再送信を行うものである。
 (CATV網相互の接続)
 ロ-カルに設定されたCATV網相互間においても,専用線による番組伝送が考えられる。これは,電気通信ネットワークによるCATV網の接続である。また,スペース・ケーブルネットにおいては,通信衛星を介して番組供給が行われる。
 (電子郵便網)
 郵便ネットワークと電気通信ネットワークの結合として,電子郵便網がある。これは,郵便物の輸送をファクシミリ通信又はDDX網による通信に置き換えて,電気通信の即時性を利用するものであり,郵便物の輸送時間をほとんど要しないものである。
 (電気通信ネットワーク相互の接続)
 新たな電気通信事業者の参入により,電気通信ネットワーク相互の接続は本格的なものとなる。このうち,第一種電気通信事業者相互の接続は,全国的なネットワークをもつ事業者,地域を限定してサービスを提供する事業者,市外回線のみを提供する事業者等が,ネットワークの面的な拡大を目的として行うものである。また,第二種電気通信事業者相互の接続は,VANの相互接続がこれに当たる。これについては,既に出現しているが,VANの発展に伴い,今後も増加することが予想される。
 電気通信ネットワーク相互の接続に当たっては,問題点として,接続基準,事業者間を接続する際の番号計画,アクセスチャージ(接続料)等があり,その適正な解決が必要である。
 (CATV網を用いた電気通信)
 双方向CATVが実現すると,CATV網の伝送路を,電話等の情報の伝送に利用することが可能となる。CATV網を利用して電話サービスを提供する構想については,現在実験が開始されようとしている。また第一種電気通信事業の許可を申請したCATV事業者も既に現れている。
 (CATV網と衛星放送網との結合)
 衛星放送の主目的に,テレビジョン放送の難視聴解消がある。衛星放送の受信には,端末側においてパラボラアンテナ,コンバータ等の新たな設備が必要である。この経済的な解決策として,衛星放送をCATV網を用いて再送信する方法がある。またこれをCATVの視点からみると,多チャンネル化の一つであるといえる。

第2-3-16図 通信ネットワークのハード的結合の一形態

 

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