昭和61年版 通信白書

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3 工事担任者制度

 工事担任者は,利用者が端末設備又は自営電気通信設備を接続する際に工事を実施する者,又は実地に監督する者である。すなわち工事担任者は,通信回線と端末機器とを接続する工事を行うのに必要な専門的な知識及び技能を有する人材であり,電気通信事業者と利用者との間にあって,利用者が安心して良好な電気通信サービスを受けるための仲介役としての機能を果たしている。
 事業法の施行に伴い,端末は,利用者が自由に選択,設置できることとなった。端末設備は,利用者と通信回線との接点の役割を果たしており,通信回線と端末設備が相互に機能してはじめて通信が可能となる。このため,郵政省令においてネットワークを保護する観点から,接続する端末設備等について送出レベル,配線設備等に関して技術基準が定められている。端末設備を接続する際は,この技術基準に適合するように工事を行い,また通信回線と端末設備が相互に十分機能するよう調整することが求められるため,専門的な知識と技能を有する者がこの工事を行うことが必要である。
 (資格の種類)
 資格の種類は,接続工事の態様,資格の区分と就業の実態との対応等を考慮し,第3-2-5表のとおり5種類であり,大別するとアナログ種とデジタル種に分類される。これは,端末設備をアナログ伝送路設備と接続する場合と,デジタル伝送路設備に接続する場合とでは,技術基準の内容が大きく異なり,また接続の工事に必要な知識及び技能も異なることによる。
 (国家試験)
 工事担任者の資格を得るためには,工事担任者試験に合格する必要がある。この試験は,端末設備等の接続に関する知識及び技能について行われるものであり,試験科目は工事担任者の種類にかかわらず,「電気通信技術の基礎」,「端末設備の接続のための技術」及び「端末設備の接続に関する法規」の3科目である。試験にかかわる事務は,主任技術者と同様に(財)日本データ通信協会が行っている。
 (付与免許数の推移)
 試験の動向をみると,第1回試験は60年9月から11月にかけて行われた。受験者数は約13万人で合格率は42%となっている。デジタル第二種の52%をはじめ,どの資格も高い合格率となっている。
 第2回試験は61年2月から8月にかけて行われ,受験者数は約9万人,合格率は37%であった。特にアナログ第一種,第二種の高い合格率が顕著である(3-2-6図参照)。
 (養成課程)
 郵政大臣が認定した養成課程における教育課程を修了したものは,工事担任者の資格を受けることができる制度がある。
 (重要性の高まる工事担任者)
 現在,工事担任者の有資格者の総数は,16万人余りであり,今後ともネットワーク化の進展及び端末機器の高度化に伴い,ますます工事担任者の重要性は高まっていく。

第3-2-5表 工事担任者の種類

第3-2-6図 工事担任者試験の実施状況

 

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