昭和63年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

1-2 通信政策及び通信サービス

 1-2-1 通信の一層の進展に向けて

 我が国が均衡のとれた国土を形成し,国際社会に一層の貢献をしていくためには,通信の側面からも各種の政策あるいは政策支援措置等が必要である。
 郵政省では,通信の一層の進展を図り,情報通信基盤を整備するため,種々の施策を講じている。

 (1)電気通信の発展に向けて

 ア 通信・放送衛星機構法の改正
 通信・放送衛星機構が産業投資特別会計の出資を受けて行う業務等に関し,所要の規定を整備するため,通信・放送衛星機構法の一部が改正され,4月,公布された。
 その主な内容は,以下のとおりである。
 [1] 産業投資特別会計の出資に伴う財務・会計関係規定の整備
 [2] 通信・放送衛星機構の業務の対象となる通信衛星の定義の改正
 イ 電気通信事業法の施行状況の検討
 電気通信事業法が施行されてから63年3月で3年が経過した。
 同法附則第2条は,施行後3年以内に施行状況を検討し,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨を規定している。
 郵政省では,施行状況について検討を行うため,62年11月以降,電気通信事業者,電気通信事業者団体,関係業界団体及び経済団体・ユーザ代表から,電気通信事業法の施行状況,事業運営上の課題等に関する意見・要望の聴取を行った。
 また,63年1月,電気通信事業法附則第2条に基づき講じるべき措置,方策の在り方について,電気通信審議会に諮問した。
 同審議会では,63年3月答申を行った。その概要は次のとおりである。
 (ア)電気通信事業法の施行状況
  施行状況,意見・要望等を分析,検討した結果,
 [1] 電気通信制度改革後の電気通信市場は,多彩な新事業者の誕生,料金の引下げ等,制度改革の趣旨に沿った方向で展開している。
 [2] 国際第二種電気通信事業に関する電気通信事業法の改正等これまでも必要な措置が講じられてきた。
 [3] 新事業者のサービスは開始されたばかりであり,市場の今後の動向を検討するには,なお十分なデータが必要である。
 [4] 関係者の意見・要望をみると,法制度よりはむしろ法の運用面及び支援措置に関するものが多い。などの事情を総合的に判断すると,現時点において現行制度の枠組みを変更すべき状況にはなく,電気通信事業法を改正する必要はない。
 なお,電気通信事業法の施行状況については,必要に応じて適宜検討を行い,利用者の利便の向上に資するよう適切な措置を講じることが必要である。
 (イ)電気通信の発展のための課題と提言
 電気通信の一層の発展を図るための課題と提言としては,競争基盤の整備,電気通信事業者の企業体質の強化,社会資本である電気通信ネットワークの高度化,料金の一層の低廉化の推進,国際化への積極的対応等がある。これらのうちその対応策が具体化しているものについては,早急に具体策を講じる必要がある。これらを踏まえて郵政省としては,電気通信制度の適切な運用及び電気通信の発展のための諸方策を講じていくこととしている。

 (2)電気通信振興のための環境整備

 ア 63年度税制改正
 63年度の電気通信関係の税制改正の概要は,以下のとおりである。
 (電気通信事業等の振興のための措置)
 [1] 新規第一種電気通信事業者の事業に係る事業所税の非課税
 [2] CATV業を中小企業等基盤強化税制の対象事業に追加
 (電気通信基盤高度化促進のための措置)
 [1] 高性能時分割通話路設備(デジタル交換設備)について,経済社会エネルギー基盤強化税制を適用
 [2] 中小企業新技術体化投資促進税制(メカトロ税制)の適用期限延長とデジタルボタン電話設備,チャンネル自動選択型移動無線通信装置(MCA),移動無線局識別装置(AVM)と同時に設置する専用の移動無線局装置を対象設備に追加
 [3] 第一種電気通信事業者及びCATV事業者に対する「電線類の地中化設備投資促進税制」の適用期限の延長
 (高度電気通信設備の普及促進のための措置)
 デジタルボタン電話設備及びデジタル構内交換設備の耐用年数の短縮
 (地域の情報化のための措置)
 [1] 民間事業者の能力の活用による整備の促進に関する臨時措置法(以下「民活法」という。)に関する税制特例措置の適用期限の延長
 [2] 民活法に関する税制の対象として,特定電気通信基盤施設及び多目的電波利用基盤施設(以下「マルチ・メディア・タワー」という。)を追加
 (電気通信研究開発の促進のための措置)
 [1] 「増加試験研究費税額控除制度」及び「基盤技術研究開発促進税制(ハイテク税制)」の適用期限の延長
 [2] 基盤技術研究促進センタープロジェクトへの民間出資の一部を「試験研究費」に算入
 イ 63年度電気通信関連財政投融資
 63年度の電気通信に関連する財政投融資については,特定電気通信基盤施設及びマルチ・メディア・タワーの整備事業が新たに日本開発銀行等からの出融資の対象とされた。
 ウ 地域における社会資本としての情報通信基盤の整備
 地方公共団体の出資又は拠出に係る法人に対して行われる日本開発銀行等からの無利子融資の対象施設として,新たに以下のものが加えられた。
 [1] テレトピア指定地域内事業として地域共同利用無線ネットワーク整備事業及び地域ISDN整備事業
 [2] 民活法対象事業として特定電気通信基盤施設整備事業及びマルチ・メディア・タワー整備事業
 エ ハイビジョンの普及促進のための基盤整備
 ハイビジョンの普及促進のために,通信・放送衛星機構が行う衛星所有業務に対する産業投資特別会計の出資等が認められた。
 オ 基盤技術研究促進センターの出融資
 基盤技術研究促進センターは,民間活力を最大限に活用して民間において行われる基盤技術に関する試験研究を推進するための機関であり,民間が行う試験研究に必要な資金を供給するために出資事業や融資事業を行うほか,国立試験研究機関と民間とが行う共同研究のあっせん,海外の研究者の招へいその他民間において行われる基盤技術に関する試験研究を促進するために必要な業務を行っている。
 62年度における新規採択案件に対する出資は,15件10億4千万円と決定された。このうち電気通信関係の新規採択案件は,小電力高速通信,CATV型ネットワークにおけるディジタル統合通信技術,機種OSを異にするコンピュータ間通信応用システム開発用新世代言語,ミリ波を利用した遠隔監視制御システムの各試験研究の4件のほか,4件のテレトピア推進法人の試験研究等8件5億2千万円と報道発表された(<1>-1-2-1表参照)。
 また,基盤技術の試験研究を行う企業等に対する新規採択案件の融資は,29件7億5千万円で,電気通信関係の新規融資案件は,19件3億7千5百万円と報道発表された。

 (3)地域情報化の推進

 ア 大阪テレポートの着工
 テレポートは,我が国の国際化,情報化に対応した大規模な地域開発の中核となる高度の情報通信拠点であり,東京,横浜,大阪等においてテレポート計画が進められている。そのうち,大阪テレポートが63年1月,着工された。
 大阪テレポートは,大阪南港地区に建設されているテレトピア計画の中核プロジェクトでもあり,衛星通信地球局とテレポートセンターで構成される。また,テレポートと都市部とを光ファイバで結び,都市部からのテレポート利用が可能となる。
 これにより,大阪地方の経済・社会活動の活性化と大阪の国際情報交流の活発化に寄与するものと期待される。
 イ 特定電気通信基盤施設整備事業
 特定電気通信基盤施設整備事業は,埋立地等の新規開発地域や工場跡地等の再開発地域において,光ファイバ網,電気通信総合管理センター等の電気通信又は放送を高度に行うための機能等を有する施設の整備を行う事業である。
 今後,この特定電気通信基盤施設の整備を促進することで,都市機能の高度化又は港湾の利用の高度化を図り,地域経済社会の発展・向上に資することが期待される。

(4)技術開発政策の進展

 近年,電気通信分野では,多彩な技術が出現し,細分化,複合化傾向が強まっているため,21世紀を見通した電気通信技術の研究開発の推進が必要とされている。
 また,我が国では,新技術の創出,各国との技術協力等を通じて,国際社会へ貢献していくことが期待されており,世界的な視野に立った研究開発の推進が求められている。
 ア 電気通信技術に関する研究開発指針の改正
 郵政省では,21世紀へ向けての電気通信技術に関する研究開発の目標,環境及び体制の整備等に関する研究開発指針を策定したところであるが,最近の急速な技術革新及び社会環境の変化に対応するため,62年8月,この研究開発指針を改正した。
 主な内容は,以下のとおりである。
 [1] 21世紀へ向けての研究開発目標
  広帯域ISDN及び高度サービス技術,知的通信を目指したフロンティア技術,電気通信と社会・人間との調和を目指した広範な学際的技術等について,重点的に研究開発を推進していくことが必要である。
 [2] 研究開発推進のための環境条件の整備
  研究開発面における新事業者への適切な条件での技術移転,組織間の人材交流,標準化,研究開発のネットワーク化等研究環境条件について整備を推進していくことが必要である。
 [3] 国際的視点を重視した総合的研究開発体制の整備
  先進国のみならず開発途上国との共同研究を推進していくための体制を確立して,電気通信の高度化を世界的に推進していくことが必要である。
 イ 通信方式の標準化に関する長期構想
 電気通信の高度化を図るには,標準化作業を効率良く進めることが不可欠となっている。このため,中長期的な観点から通信方式の標準化に関する検討を行い,総合的なビジョンを示すため,「通信方式の標準化に関する長期構想」が63年4月,電気通信技術審議会から答申された。
 主な内容は,以下のとおりである。
 (通信方式の標準化をめぐる体制)
 [1] 時宜を得た効率的な通信方式の標準化を行うため標準化ガイドラインの作成体制等に関する企画機能の充実
 [2] CCITT等の国際標準化作業と国内標準化作業の連携の強化・推進による標準化作業の効率化の推進
 [3] 電気通信の高度化に不可欠な通信方式の標準化に関する情報を広く普及させるための情報提供機能等の充実
 [4] 国内標準と国際標準の整合を図るため,先進国,開発途上国双方との国際協調の積極的な推進
 [5] 推奨通信方式制定作業の効率化のため,民間作成原案に基づく制定作業の実施の推進
 [6] 標準化された通信方式の普及のためのコンフォーマンス試験や相互接続試験の充実
 (通信方式の標準化ガイドライン)
 通信方式の標準化を効率的,体系的に行うには,電気通信の現状と動向,利用者のニーズ,国際的な標準化動向と国内標準化の現状等幅広い観点から,総合的に標準化のガイドラインを作成する必要がある。
 したがって,今後の標準制定作業における指針とするため,各通信方式ごとに望ましい標準制定時期と重要度を展望し,通信方式の標準化ガイドラインを作成した(<3>-1-16図参照)。
 さらに,これらの標準化に当たって,解決,考慮すべき課題と展望を各通信方式ごとに検討した。
 ウ 新しい電気システムの実用化に向けて
 (電子メール通信)
 電子メール通信は,データ,文書,画像等の情報を通信網の蓄積交換機能を利用することにより,私書箱通信,同報通信,時刻指定通信等のサービスを行うものであり,既に我が国を含め,各国でサービスが導入されている。
 このような状況の中で,郵政省は電子メール通信の一層の普及・促進を図るため,電子メール通信の現状と動向を調査するとともに,今後の電子メール通信の高度な利用形態とその在り方を整理しつつ,将来像を明らかにすることを目的として検討を行った。
 (ディレクトリシステム)
 ディレクトリシステムは,アドレス情報やリソース情報等のネットワークに関連する情報をデータベース化して一元的に管理し,また,これらの情報を提供するシステムである。現在,CCITTにおいて標準化が進められており,1988年に勧告が出される予定である。
 郵政省は,将来,導入が予想されるディレクトリシステムについて,標準化の動向,関連技術・関連サービスの現状を調査し,システム形態,適用分野等を検討してディレクトリのイメージを明確にするとともに,今後の導入に際しての課題について検討を行った。
 (光通信)
 光通信は,軽量・細径のファイバにより高速・大容量通信が可能であること,電磁妨害に対して強いことなど他のメディアにない数々の特長を有しており,すでに公衆通信及び専用通信網の一部に導入が図られている。また,今後,大容量データ通信を中核とする多種多様なニーズに対応できる広帯域ISDN等を構築していくためには,さらに光通信の技術開発を積極的に促進し,コストの低廉化を図りつつ,加入者系通信網で普及させていくことが重要である。
 このため,光通信の利用に焦点を当て,利用システム,需要予測等光通信の将来ビジョンを総合的に検討するとともに,その利用促進のための課題について,検討を行った。
 主な内容は,以下のとおりである。
 [1] 光通信基盤の整備
  情報通信量の多い大都市,地方中核都市間を直結する光通信網の整備や光通信を利用するテレビ会議場等の施設を集積した光情報通信拠点の整備促進等
 [2] 光通信の普及促進・高度化施策
  技術開発等によるサービスのコストの低廉化,加入者系まで含めた光通信システムの試行的導入,広帯域ISDNの標準化の推進,光通信技術者の養成等
 (フロンティア技術)
 21世紀の高度情報社会において,電気通信に求められる高度なニーズに対応するためには,従来の分野ごとの研究では進展が望めない領域であるフロンティア領域に関する研究が必要である。
 このため,郵政省では,電気通信に関するフロンティア領域の研究について,長期の研究期間を必要とし,リスクが高く,電気通信の高度化を目的としたものであり,幅広い分野の科学と電気通信との関係を研究し,かつ新しい領域を切り開く基礎的研究と位置づけた。また,具体的な研究課題として,以下の3項目を抽出し,産学官の連携,国立試験研究機関の強化の必要性等について提言した。
 [1] 画像を中心とする新しい複合サービスを実現するため,大容量で経済的なハードウェアを開発するのに必要な超高速デバイス技術及び量子現象を利用した光通信技術等の超高速通信技術の研究
 [2] 利用者の多様なニーズに対応し,安定的な通信の提供が可能であり,かつ知識情報処理技術を利用した高度なアクセス機能をもつ高機能ネットワーク技術の研究
 [3] 視聴覚機構の解明等に基づき,生体機能を模倣した高度なパターン情報処理,並列分散処理による高度知的処理等のバイオ・知的通信技術の研究

 (5)宇宙通信に関する主な動き

 ア 通信衛星3号-aの打上げ
 63年2月,通信衛星3号-a(CS-3a)が宇宙開発事業団種子島宇宙センターから打ち上げられた。
 通信衛星3号(CS-3)は,今回打ち上げられたCS-3aと63年8・9月期に打上げが予定されているCS-3bの2機で構成されている。
 CS-3は,通信衛星2号(CS-2)に続く第二世代の実用通信衛星であり,通信容量が増大するほか,長寿命化,サービスエリアの拡大等が図られている。また,非常災害時通信,離島通信等CS―2による通信サービスを引き継ぐとともに,新規の利用者に対するサービスの提供等を行うこととしている。
 なお,民間においても衛星通信事業者2社の通信衛星が64年に打ち上げられる予定であり,現在,準備が進められている。
 イ 新しいシステムの研究開発
 (放送及び通信め複合型衛星の研究)
 放送及び通信の複合型衛星(BCTS)は,BS-3に続く次世代放送衛星に必要な高度放送衛星技術の確立,移動体衛星通信の高機能化技術の開発等を目的とした技術開発衛星構想である。
 63年度においては,衛星の概念設計,衛星放送用高出力中継器等の性能確認用実験モデルの試作を行うこととしている。
 (総合的な移動体衛星通信実験)
 郵政省では,62年8月に打ち上げられた技術試験衛星V型(ETS-V)を利用して,移動体通信衛星に関する基礎技術の確立を目的とする移動体衛星通信実験システムの実験を行っている。
 本実験は,衛星を利用して,陸海空を対象とした移動体と音声・データ・画像等の総合的なディジタル通信を行うもので,今後の我が国における移動体衛星通信システムの実用化を円滑に進める上で大きな成果をもたらすことが期待されている。

 (6)電気通信事業の発展を目指して

 ア データ通信の今後の発展方策について
 データ通信の利用形態の高度化・多様化が進展しており,我が国の社会,経済においてデータ通信の果たす役割は,ますます重要となっている。
 このような中で,電気通信審議会は,63年3月,データ通信の発展動向,諸外国におけるデータ通信政策の動向等を踏まえて,データ通信の今後の発展方策について答申を行った。その概要は,次のとおりである。
 [1] 技術開発
 異なるネットワーク間の接続,使い勝手のよさ等のデータ通信に対する要求にこたえ得る技術開発に積極的に取り組む必要がある。
 [2] 基盤整備
  データ通信需要の高度化・多様化に対応するためには,伝送,交換機能の高度化が不可欠であり,ISDNの構想を推進する必要がある。
 企業間や複数業務間のネットワーク化が進展し,データ通信が多数の企業や家庭に拡大していくためには,通信プロトコルの標準化を推進することが必要である。
  国際間のデータ通信の発展のため,新たな国際通信制度の確立に貢献していく必要がある。
 [3] データ通信分野における公正競争の確保
  データ通信分野における公正競争を確保するためには,第一種電気通信事業者に対し,回線設備とこれに付加されるサービスとの間の会計の分離による内部相互補助の防止,ネットワーク情報等について競合する電気通信事業者との間でのイコールフッティングの確保等について担保する必要がある。
  なお,この答申の中で,57年7月の第二次臨時行政調査会第三次答申以来の課題となっているNTTのデータ通信事業の分離について,データ通信全般の発展及びユーザ利益の増進に資するならば分離も有益な政策たりうるなどの基本的考え方が示されたことから,63年7月,データ通信事業を分離すべく所要の準備が進められている。
 イ 公正・有効競争条件の整備
 第一種電気通信事業分野では,NTTと他の事業者との間の公正かつ有効な競争が行われるよう競争条件を整備することが課題となっている。
 我が国では,日本電信電話公社の民営化に当たり,地域分割等が行ゎれず,市内網は、事実上NTTの独占下にあり,また,長距離系新事業者は,一部の基幹通信網しかもたないので,事業活動を展開するに当たって,NTTに依存しなければならない状況にある。
 62年9月,3社の長距離系新事業者が,電話サービスを開始したが,これらの事業者は,電話サービスの提供に当たってNTTの市内網と交換機に全面的に依存しているため,NTTの加入者線交換機が旧式の場合は,新事業者の営業エリア内であっても新事業者の市外電話登録サービス(通常の電話番号に4けたの事業者識別番号を付与して利用するサービス)を受けられないという事態が発生した。
 62年度末現在,新事業者の営業エリア内において,新事業者がこのサービスを行うことのできるNTTの加入者線交換機の設置比率は,53%である。また,今後新事業者の電話サービスが予定されている地域における設置比率は,山陽,九州では35%,東北,上越では27%にとどまっている。この問題の抜本的な解決策としては,NTTの加入者線交換機をディジタル交換機に更新する必要があり,早期切換が望まれる。
 また,米国では,AT&Tの分割により,AT&Tは長距離通信事業のみを提供するという形にし,他の事業者との公正競争の確保が図られているが,我が国では,NTTが長距離と市内の両方のサービスを提供するため,NTTと新事業者との間の公正かつ有効な競争が行われるよう,新事業者とNTTとの接続に関する問題等については適切に対処する必要がある。
 ウ 端末の多様化
 (パソコン,ワープロ等の通信網への接続)
 パソコンやワープロは,近年,急速に企業や家庭に普及が進んでいる。これらは,通信回線に接続することにより,有力な通信手段となることが期待される。
 ところが,インタフェース面等についてなお問題があり,郵政省では,普及推進上の問題点とその解決方策について検討を進めている。
 (テレビ電話の標準化と将来像)
 テレビ電話は,今後,教育,医療等幅広い分野での利用が期待されている。
 テレビ電話には,現在の電話回線をそのまま利用して簡易な静止画を安価に送れるものと,ディジタル回線を利用してカラーの動画を送れるものとがある。
 静止画テレビ電話については,複数の方式が開発されたため,相互に通信を行うことができなくなるおそれがあった。このため,(社)電信電話技術委員会において標準化作業が行われ,規格統一が進められている。
 動画テレビ電話は,G4ファクシミリ等とともにISDNサービスの中でも注目されており,画像の高能率符号化方式等について研究開発が進められている。

 (7)電波利用の促進

 (マルチ・メディア・タワーの整備)
 自動車電話,無線呼出し,MCAシステム,放送等の無線利用分野においては,適切な場所にアンテナを置く必要があるが,これらの分野で共同してアンテナを設置することにより,効率的に事業を行うことが可能となる。
 今後,地域社会において以上のような分野の電波利用が増大していくのに際し,そのためのアンテナを共同して設置することのできる無線鉄塔等が地域の情報通信基盤として必要になっている。
 また,この施設に,展示施設,研修施設等の共同利用施設を併設することにより,地域企業や住民の無線通信に対する理解を深め,地域社会の情報化の円滑な推進を図ることが可能となる。
 このようなマルチ・メディア・タワーが民活法等の対象施設に追加された。
 (新しい電波利用)
 郵政省では,電波の有効利用を図るため,周波数高密度利用技術の開発等の既利用周波数帯の再開発や,ミリ波センシングシステムの開発等の未利用周波数帯の開発を行っている。
 このうち,増大する移動通信需要にこたえるために必要な移動通信における準マイクロ波帯(1〜3GHz)の開発については,その利用方策を確立するため,利用分野,利用形態等について検討を行っている。
 また,農業,漁業,観光等様々な分野において地域の情報化に資する電波の利用形態について検討を行っている。
 (基幹通信網における電波利用の長期展望の検討)
 高度情報社会を支える基幹通信網については,地上無線網と並んで,光ファイバ通信や衛星通信が大きく進展している。
 また,通信網の発展に伴い,基幹通信網の安全・信頼性,効率性が強く求められている。
 このような伝送メディアの利用状況及び社会的環境変化を踏まえつつ,基幹通信における電波利用を促進するため,基幹通信網を構成する伝送メディアの役割,電波系メディア利用の在り方等について電気通信審議会において審議が行われている。
 (テレターミナルシステムの開発)
 近年,情報の収集,検索,提供等を能率的かつ高密度に行うことができるデータ伝送を移動通信において利用したいという要望が増大している。
 こうした要望に対しては,既存の移動通信システムによるほか,今後の需要の増大に対処するため,多数の利用者が無線設備を共用して複数の周波数を効率的に利用する移動通信型データ伝送システムであるテレターミナルシステムによることが考えられる。
 テレターミナルシステムを構成する無線局の無線設備に関する技術的条件については,電気通信技術審議会において62年10月から審議が行われてきたが,63年3月,800MHz帯の周波数によるシステムの技術的条件の答申が行われた。
 (電波有効利用促進センターの指定)
 近年,電波利用の急速な進展に伴い,無線局開設に当たっての助言を求める社会的要請が高まってきており,これにこたえるため,62年6月,電波法が改正された。この改正により,郵政大臣が,無線局の開設に当たっての混信に関する調査等必要な事項について照会及び相談に応じることなどの業務を行う電波有効利用促進センターを指定することが可能とされた。
 62年11月,この電波有効利用促進センターとして(財)電波システム開発センターが指定された。同センターは,63年4月から業務を開始しており,これにより近傍の無線局との間の混信等の状況が把握でき,電波利用者にとって無線局の開設の容易化,迅速化が図られている。
 (電波環境対策)
 各種無線機器・電子機器が社会のあらゆる分野で広範囲に使用されるにつれて,これらの機器から発射される不要電波によって無線通信への混信や他の電子機器等の機能に対する障害が発生するなどの問題が生じてきている。
 62年9月,不要電波による障害を防止し,除去するための対策を協議することを目的として,関係省庁,業界団体等によって構成される「不要電波問題対策協議会」が設立された。
 同協議会は,不要電波問題に関する情報の収集,交換,啓蒙・広報活動等を行っている。
 また,電波が人体に及ぼす影響についても調査研究が進められており,生活環境と調和のとれた電波利用の推進が図られている。

 (8)放送政策の新たな展開

 ア 放送法及び電波法の一部改正
 我が国の放送は,今日,放送事業者としては民間放送150社とともに放送大学学園が加わり,メディアの種類も多様化している。
 このような放送の多様化に対応しうる放送制度とするとともに,近く予定される有料放送の導入に備えて制度を整備することを内容とする「放送法及び電波法の一部を改正する法律」が63年4月,成立した。
 なお,この法改正の主要な内容は以下のとおりである。
 (放送法の構成)
 民間放送が発展した今日の状況のもとでの民間放送と公共放送の併存体制にふさわしい法構成とするため,放送に関する一般通則及びNHK,民間放送等の放送事業者ごとの特則という体系に改めることとされた。
 (放送の計画的普及の推進に関する事項)
 放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため,郵政大臣は,放送普及基本計画を策定し,放送の普及発達のための指針や具体的な目標を設定するとともに,これに基づき必要な措置を講ずることなどとされた。
 (放送番組に関する事項)
 従来,すべての放送メディアに一律に適用されていた番組間の調和や放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)の設置等の放送番組に関する規律を,放送メディア又は放送事業者の性格に応じて緩和することとされた。
 また,放送事業者が自律的に放送番組の適正向上を図るために設置することとされている審議機関の活性化を図るため,放送事業者は審議機関が答申し,又は意見を述べた事項があるときは,その概要を公表しなければならないことなどとされた。
 (NHKに関する事項)
 NHKについては,公共放送として蓄積してきたノウハウ等の一層の有効活用を可能とし,併せて,副次収入など経営財源の多角化にも資するため,郵政大臣の認可を受けて,その保有する施設又は設備を一般の利用に供し,又は賃貸することなどの業務を行うことができることとされた。
 (有料放送に関する事項)
 今後の放送事業の発展のため,従来の広告料等の収入源のほか新たな財源の確保の道をひらくとともに,多様化する受信者のニーズにこたえるため,民間放送について有料放送を導入するとともに,有料放送を行う放送事業者は,有料放送の役務の料金その他の提供条件について契約約款を定め,郵政大臣の認可を受けることとされた。
 (その他)
 放送局の免許有効期間は現在一般無線局より短く,3年を超えない範囲内において郵政省令で定めることとなっているが,一般無線局と同様5年を超えない範囲内において郵政省令で定めることとされた。
 イ ハイビジョンの推進
 次世代のテレビとして注目されているハイビジョンは,65年打上げ予定のBS-3によって本格的な実用化を迎える予定である。
 これに向けて,ハイビジョン普及のための環境整備を進める必要があり,次のような取組を進めている。
 (国民の理解の促進)
 ハイビジョンの普及を図るには国民の理解の促進が大切である。そのため,63年9月開催のソウルオリンピックでのハイビジョン放送の実施等,各種のイベントを通じて国民に直接ハイビジョンを見てもらう機会を提供することとしている。
 (ハイビジョンの普及促進のための基盤整備)
 通信・放送衛星機構の行う衛星所有業務に対して産業投資特別会計の出資が認められた。
 これは,66年に打ち上げられる放送衛星3号-b(BS-3b))のトランスポンダ(電波中継増幅器)を一本確保して,ハイビジョン衛星放送を行うものに利用させ,ハイビジョン衛星放送の早期普及を図るものである。
 また,ハイビジョン放送に深く係わる事業を行う法人に対して,日本開発銀行からの出資が認められた。
 これにより,継続的な番組ソフトの供給体制の整備を図ることとしている。
 (高度映像都市構想)
 郵政省では,第四次全国総合開発計画の趣旨をも踏まえて,都市の高度映像化を推進するため,ハイビジョンを市役所,駅,文化ホール等の都市空間に優先的に導入し,地域の特性を生かしながら,活気と潤いにあふれた先進的都市を構築する高度映像都市(ハイビジョン・シティ)構想を推進している。
 現在,同構想を推進するために高度映像都市(ハイビジョン・シティ)構想懇談会を開催し,高度映像都市構想の理念と推進方策,高度映像都市のモデル・イメージ,高度映像都市の選定方法等の検討を進めているところである。
 なお,郵政省では,63年度中に全国10か所程度のモデル都市を選定する予定である。
 (技術開発の動向)
 65年に打上げ予定のBS-3やCATVによる実用放送開始に向け,BS-2bを用いた放送実験を通じ,ハイビジョンのスタジオ規格,伝送方式等の技術開発が進められている。
 一方,CCIRにおいて国際標準化が進められている。61年5月のCCIR総会において,我が国,米国,カナダの3国共同で提案したスタジオ規格が,報告書の中の「新勧告の提案」として取り上げられた。62年11月のCCIR中間会合において,欧州から,新たなスタジオ規格の提案があり,現在,複数の案が出された状態となっている(<1>-1-2-2表参照)。
 NEC電気通信定期協議において設置を合意された「HDTV作業部会」の第1回会合が,63年3月,東京で開催されたが,我が国及びECの双方から技術的現状の説明が行われるにとどまった。
 今後,我が国としても国際協調の観点から引き続き国際規格の統一に向けて積極的に努力することとしている。
 ウ 放送メディアを通じた国際理解の促進
 (ア)国際放送の充実・強化
 国際放送は,国際理解の増進や海外在留邦人への情報提供等を目的として,NHKにより全世界に向けて短波放送によって行われており,諸外国の我が国に対する正しい理解,認識を得る上で,その役割はますます重要なものとなっている。
 このため,62年度においては次のような改善がなされた。
 (国内送信所の整備・増力)
 59年度から進められていた,KDD八俣送信所(茨城県)の整備・増力工事が62年3月に完成した。これにより,主に東南アジア等,我が国の近隣地域において受信改善が図られた。
 (海外中継の実施)
 遠隔地の受信状態の改善に当たっては、海外中継が効果的であることから,これまでもアフリカのガボン共和国及びカナダから海外中継を実施し,効果を上げてきた。62年度においては,南西アジア及び中米地域等の受信状況の改善を図るため,海外中継局確保のための調査を実施した。
 また,カナダからの海外中継については,63年4月から,相互に相手国の国際放送を中継しあう,相互交換中継に改めた。相互交換中継は,賃借により相手国から一方的に中継してもらう場合と比較して,海外中継の安定的な実施,好適聴取時間帯の確保,経費の効率性の向上等の点で効果があり,今後更にその活用を図ることとしている。
 なお,63年度の国際放送を実施する経費は66億9千万円であり,そのうち郵政大臣の命令放送に要する経費として,国が14億5千4百万円を負担することとしている。
 (イ)映像メディアの活用
 今日極めて大きな影響力を有するテレビジョン放送等の映像メディアを諸外国への情報提供手段として活用することは,我が国に対する理解,認識を深める上で効果的であり,我が国においても関係機関で検討などをさらに進める必要がある。

 (9)郵トピア構想の推進

 活力ある地域社会の形成に寄与するとともに,新しい郵便サービスの実験を行うことを目的とした「郵トピア構想」が展開されており,62年4月,20都市がモデル都市に指定された。モデル都市においては,モデル都市の風景等を題材とした絵入り官製葉書の発行等のサービス・メニューのほか,地域社会の行事への積極的参加や住民票等交付申請の郵送サービス等モデル都市のニーズに応じた独自のサービスも実施されている。
 63年4月,「郵トピア構想」を更に地域社会に根付いたものとして充実,発展させるとともに,今後の郵便サービスについての多くの実証的データを得るため,24郵市が第2次モデル都市として指定された(<1>-1-2-3図参照)。

 (10)通信に関する国際分野の動き

 ア 移動業務に関する世界無線主管庁会議の開催
 62年9〜10月,ジュネーヴにおいて移動業務に関する世界無線主管庁会議(WARC-MOB-87)が行われた。
 主な決定事項は,以下のとおりである。
 [1] 移動衛星業務への周波数の分配
 移動衛星業務のための周波数分配の見直しが行ゎれ,現在,航空移動衛星業務及び海上移動衛星業務用とされている1.5GHz及び1.6GHz帯の一部の周波数が陸上移動衛星業務にも分配された。
 [2] 全世界的な海上遭難安全制度(GMDSS)のための規定の整備
  現在のモールス電信に代わる自動化されたシステムのための遭難安全周波数,運用手続等が定められた。
  ただし,現行システムについてもGMDSSが完全に実施されるまでは,維持することとされた。また,GMDSSの実施に伴う無線従事者の資格証明書として,新たに4種類が設けられた。
 [3] 短波帯の用途別分配及び周波数の分配の見直し
  今後,需要の伸びが期待される無線電話等のための周波数が増加された。また,電話で使用する周波数の間隔が狭められ,周波数の有効利用が図られることとなった。
  郵政省としては,今後,この決定事項を受けて,周波数割当の見直し,関係法令の改正等を検討することとしている。
 イ インテルサット締約国総会の開催
 インテルサット第12回締約国総会は,62年10月,80か国の代表が出席してブエノスアイレスで開催された。
 今次会合の主要な審議結果は以下のとおりである。
 [1] 別個のシステムとの調整手続の改善
 インテルサットと別個のシステムとのシステム間調整手続について,短期の使用で,その使用を予見することができず,緊急性がある場合等一定の条件を付して,締約国総会の認定権限を試行的に理事会及び事務局長に委譲することとなった。
 これは,インテルサットに重大な政治問題又は経済的損害を生じさせない事例について,手続を簡素化するためのものである。
 [2] 仲裁裁判所裁判長団の構成員等の選定
 締約国相互間又はインテルサットと締約国間等の法律的紛争を解決するための仲裁裁判所の裁判長団構成員11名,予備員11名を選定した。
 ウ インマルサット総会の開催
 インマルサット第5回総会は,62年10月,41か国の代表が出席してロンドンで開催された。
 今次会合の主要な審議結果は,以下のとおりである。
 [1] 陸上移動衛星業務の提供
  インマルサットが海事及び航空衛星通信業務に加えて,陸上移動衛星通信業務を提供し得るよう制度上の見直しを行うことについては,商業,技術及び運用上の可能性につき検討すること並びに条約改正手続に留意するよう理事会に勧告することが決定された。
 [2] 第二世代衛星用打上機
  インマルサット第二世代衛星用打上機の調達に関しては,可能性あるすべての打上機について検討するよう理事会に勧告することが決定された。
 エ 二国間定期政策協議
 二国間定期政策協議は,情報通信の社会的重要性の増大,社会・経済の国際化の進展に伴って,従来の国際機関における多国間調整のみでは十分な成果が望めない問題や,二国間特有の課題が生起してきたことにより,その開催の必要性が相互に認識され,実施されているものである。
 (日加電気通信定期協議第3回会合)
 日加電気通信定期協議の第3回会合は,62年9月に東京で開催され,両国における電気通信に関する動向,両国の協力体制(ハイビジョン,科学技術協力等),国際機関への対応等について協議が行われた。
 (日EC電気通信定期協議第1回会合)
 日EC電気通信定期協議の第1回会合が62年11月に東京で開催され,両者における電気通信の主な動向,ISDNに関する標準化,OSIに関する標準化,ハイビジョンに関する標準化の今後の対応等について協議が行われた。
 オ 国際協力体制の整備
 (ISDN国際共同研究会)
 郵政省は,従来,アジア各国間における電気通信の高度化に関する相互理解の促進,関係各国の技術力の向上等を目的として「国際的ISDN共同研究構想」を進めているところである。
 この構想の一環として,62年6月,ISDN国際共同研究会国内準備委員会が設けられた。さらに,62年12月,国際準備委員会の第1回会合がタイのバンコックにおいて,我が国のほか,韓国,フィリピン,シンガポール及びタイの5か国36名が参加して行われた。
 今後,我が国としては,これら諸国との良好な関係を維持・発展させながら,国際共同研究構想を推進していくことが重要である。
 (APT東京電気通信開発セミナー)
 62年9月,APTによる「APT東京電気通信開発セミナー1987」が東京において開催された。
 本セミナーには,14の加盟国,3の国際機関等から合計52名が参加し,ルーラル電気通信,ISDN及び電気通信事業の経営の在り方等の広範なテーマについて意見交換が行われた。
 (電気通信国際協カセミナー)
 我が国企業が開発途上国に直接投資するのに際して重要である電気通信インフラストラクチャの意義を認識し,電気通信分野の国際協力の意義を明確にするため,63年3月,電気通信国際協力セミナーが開催された。
 カ テレコム87の開催
 62年10月,ジュネーヴで,80か国,803の企業・団体が参加してテレコム87が開催された。
 「テレコム」は,ITUの主催する電気通信の総合的な展示会であり,46年に開催されて以来,4年ごとに開催されてきた。また,各地域において果たす電気通信の必要性に重点を置いた地域テレコムも開催されてきた(<1>-1-2-4表参照)。
 我が国からも,テレコム87にISDNサービスのアプリケーションを中心に,26の企業・団体が出展を行い,電気通信の開発成果を世界に発表した。

 

<1>-1-2-1表 基盤技術研究促進センターから出資を受けた研究開発会社の例

<1>-1-2-2表 ハイビジョンのスタジオ規格

<1>-1-2-3図 郵トピア構想モデル都市

<1>-1-2-4表 テレコム及び地域テレコムの開催状況

 

<1>1-1-4 情報化の現況 に戻る <1>1-2-2 進む電気通信サービス に進む