昭和63年版 通信白書

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1-1-3 地域情報化推進政策の現状

 郵政省では,テレトピア事業や民活法施設の整備事業等を通じて,地域に密着した情報通信を中心とした情報化を推進している。
 ここでは,情報通信を中心とした地域の情報化推進政策の現状について概観する。

 (1)テレトピアの推進

 テレトピア計画は,CATVやビデオテックス等のニューメディアをモデル都市に集中的に導入することにより,地域の情報化を促進し,それぞれの地域の情報通信の核となる基盤を整備するものである。
 テレトピアは,現在,63地域が指定され,全国で260のシステム構築予定に対し,62年度末現在,既に92システムが運用を開始している。また,これらのシステムの事業主体として41の第三セクターが設立されている。
 運用システムに導入されているメディアとしては,データ通信,ビデオテックス及びCATVが中心であり,全体の8割を占めている。

 (2)情報通信拠点の整備

(テレコムプラザ)
 テレコムプラザは,地域において高度な電気通信システムを運用するためのセンターと,地域の住民,企業等が,最新の電気通信システムを実際に体験・活用できる施設とを合わせ備えた,電気通信の高度で多様な利用の拡大,定着を促進するための拠点施設である。
 テレコムプラザは地域の情報通信基盤整備の中核となり,市民生活及び企業活動等の活性化に寄与することが期待されている。
 郵政省の調査(注3)によれば,地方公共団体の「ニューメディアを自由に利用できる情報センターの誘致」に対する意向は,「非常に望ましい」及び「望ましい」とするものが,79.8%と高くなっている(<2>-1-1-10図参照)。
 現在,テレコムプラザとして,富山市民プラザ,ニューメディアプラザ山口等の4プロジェクトの整備事業が着手されている。
(テレポート)
 テレポートは,通信衛星を利用した国際又は国内との間の高度な情報通信の拠点となる電気通信基盤を整備する地域開発プロジェクトであり,一定の地域内に衛星通信地球局,電気通信中枢センター,大規模光ファイバ網を集中整備するものである。
 また,このテレポートと一体的に設置されるインテリジェントビルについても民活法の対象施設となっている。
 63年1月,大阪テレポートが我が国最初のテレポートとして着工され,64年からサービスが開始される予定である。また,東京,横浜等においてもテレポート計画が進められている。

 (3)研究開発拠点の整備

 電気通信等の先端的な技術の研究開発を行うために,地域の企業等が共同で利用できる研究施設であるテレコム・リサーチパークは,地域における電気通信の研究開発の拠点であり,地域の発展に資することが期待されている。
 郵政省の調査によれば,地方公共団体の「共同利用できる研究開発施設等の誘致」に対する意向も,テレコムプラザと同様,高くなっている(<2>-1-1-11図参照)。
 これは,先端的な技術の研究開発を進める研究施設ができることにより,企業がその地域に集まり,地域経済の活性化・発展の大きな原動力になることが高く評価されているためである。
 現在,テレコム・リサーチパークとして,関西文化学術研究都市内に,国際電気通信基礎技術研究所(ATRインターナショナル)が建設されている。

 (4)人材の育成

 情報化を進める上で,人材の育成が課題となっている。
 特に,情報化が進んでいない地域において,人材の不足が情報化を進める上での課題となっており,人材の育成体制の整備に対する要望が強い。
 また,情報サービスに要求される人材は,情報を収集・加工・処理する人材をはじめとして,組織・運営の在り方を考える人材等,様々な人材が求められている。
 情報通信の活用により,情報化を進める上では,特に地方都市において積極的に人材の育成を推進し,地域間の人材の偏在を是正していくとともに,全体的に不足している情報通信に関連する人材を充足していくことが必要である。
 60年6月に設立された(財)電気通信高度化協会は,新たな電気通信システムの構築,活用等を行うために必要な人材の育成を目的として,地域における人材の育成を支援している。
 また,テレコム・リサーチパークの設立によって,各地域における電気通信技術者の育成が期待される。
 郵政省では,ネットワーク化の推進に向けて,電気通信事業者と通信の利用者の両面から,人材の育成方策についても検討を進めている。

 (5)地域の情報化を進める上での環境整備

 情報化の推進事業は,一般に,初期投資が大きく,かつ,システム構築後も相当の運用経費を要することから,国等が適切な支援措置を講じつつその推進を図る必要がある。
 このため,郵政省では,システムの構築に対する財政投融資をはじめとする支援措置や,運用経費と密接な関係のある通信料金の低廉化等の種々の支援を行っている。
(通信料金の低廉化)
 基幹通信である電話は,最も利用しやすいメディアとして情報通信システムの構築において重要な役割を果たしている。
 NTTによる電話料金は,56年,58年及び59年の中・遠距離電話料金の値下げや土曜・日曜・祝日割引きの導入に引き続き,63年2月の遠距離電話料金の値下げ及び離島の電話料金の改善と,低廉化に向けた努力が行われている。
 また,第二電電(株),日本テレコム(株)及び日本高速通信(株)の夜間,深夜の電話料金も63年2月に値下げが行われた。
 郵政省は,今後とも,利用者の期待にこたえるとともに,情報化の推進を支援するため,料金全般の低廉化に向けた施策を行うこととしている。
(テレトピア計画に対する支援措置)
 テレトピア計画に対する支援措置としては,テレトピア推進法人に対する基盤技術研究促進センターからの出資,日本開発銀行等からの低利融資及びNTT株式売却益を原資とする無利子融資,さらに,モデル都市において債務保証,利子補給等を行う公益法人(テレトピア基金)に対し,民間企業が出損した場合の損金算入措置等が講じられている。
(民活法対象施設に対する支援措置)
 テレコムプラザ,テレポート及びテレコム・リサーチパークの施設整備に対する支援措置としては,日本開発銀行等からの出融資及びNTT株式売却益を原資とする無利子融資,整備事業費に対するインセンティブ補助金,さらに施設に対する国税,地方税の減免等が講じられている。

<2>-1-1-10図 ニューメディアを自由に利用できる情報センターの誘致意向

<2>-1-1-11図 共同利用できる研究開発施設等の誘致意向

 

 

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