昭和63年版 通信白書

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2-1-1 我が国の国際電気通信分野への新規参入

 60年の電気通信制度の改革により,国際電気通信分野においても従来のKDD一社による独占に終止符がうたれ,競争原理が導入された。これは,主要先進国においては,米国及び英国に次ぐものであった。

 (1)第一種電気通信事業分野への参入

 60年の制度改正を受けて,61年には国際第一種電気通信事業分野への参入のための企画会社が2社設立され,62年11月,日本国際通信(株)及び国際デジタル通信(株)が,第一種電気通信事業の許可を受けた。
 この2社には,英国の電気通信事業者をはじめ外国からの資本参加も行われている。また,海底ケーブル,衛星地球局等の電気通信設備を建設して,サービスを開始すべく,現在,準備が進められている。
 62年11月の許可に係る電気通信設備として,日本国際通信(株)は,第3太平洋横断ケーブル等の海底ケーブルの回線を取得し,インテルサット衛星の通信回線の割当てを受けることとしている。また,国際デジタル通信(株)は,香港・日本・韓国ケーブルの回線を取得し,インテルサット衛星の通信回線の割当てを受けるほか,英国のケーブル・アンド・ワイヤレス(C&W)社及び米国のパシフィック・テレコム・ケーブル(PTC)社とともに北太平洋横断ケーブル(NPC)を新たに建設する構想を有している(<2>-2-1-1表参照)。

 (2)国際特別第二種電気通信事業の実現

 国際専用回線の使用態様が,国際通信の枠組みを定めているCCITTのD1勧告により制限されているため,第二種電気通信事業者による国際通信サービスは,国際電話網,国際パケット通信網等の公衆網を利用して提供されていた。
 しかし,近年の社会,経済の国際化に伴う国際通信の高度化・多様化の要請にこたえていくためには,公衆網の利用者としてサービスを提供するのみでは不十分であり,利用者,事業者の双方から,国際通信部分についても第二種電気通信事業者が構築することが求められていた。この要請にこたえ,62年6月,電気通信事業法の一部が改正され,第二種電気通信事業者が条約等国際約束を遵守する義務を有することを法律上明確にし,さらに,第一種電気通信事業者が第二種電気通信事業者に対し契約約款によらずに回線を提供することを可能にすることにより,D1勧告に抵触することなく自由に,第二種電気通信事業者が高度な国際情報通信サービスを行うことが可能とされた。
 63年4月末現在,5社の第二種電気通信事業者が米国の通信事業者と提携してこのような国際通信サービスを開始している(<2>-2-1-2表参照)。

<2>-2-1-1表 新国際第一種電気通信事業者の概要

<2>-2-1-2表 国際特別第二種電気通信事業者の概要(63年4月末現在)

 

 

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