昭和63年版 通信白書

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1-2-3 充実する放送サービス

 (1)民間テレビジョン放送及びFM放送の拡充

 放送においては,全国各地域における受信機会の平等の実現と地域間情報格差の是正は,大きな課題となっている。
 このため,民間テレビジョン放送については,全国最低4の放送を視聴できることを目標に,その普及を図っており,現在,25都道府県で4以上の放送が実施されている。
 63年4月には,山形地区の3局目の民間テレビジョン放送に予備免許を与えており,64年秋には開局の予定となっている。
 なお,周波数割当計画上は,全国世帯数の80%以上の世帯において4以上の放送が視聴可能となるよう措置されている。
 一方,民間FM放送については,全国普及を目標にその普及を図っており,62年度末現在,41都道府県について周波数の割当てを行っている。
 62年度において,新潟及び青森地区,また,63年4月には香川地区の民間FM放送局が開局したことにより、現在,26都道府県で放送が実施されている。このほか,埼玉,山梨及び長野地区並びに東京の2局目に予備免許を与えており,63年中に開局する予定となっている。

 (2)難視聴対策

 現在,テレビジョン放送の全国の辺地難視聴世帯はNHKで約10万世帯,民間放送で約40万世帯と推定されている。NHKの難視聴については59年度以降は,衛星放送により全国的規模で解消が図られている。また,民間放送については引き続き中継局の設置により解消が図られている。
 一方,都市におけるテレビジョン放送の受信障害(都市受信障害)世帯は全国で約67万世帯(62年3月末現在)に達している。
 都市受信障害は,そのほとんどのものは障害の原因となる建造物の建築主等の負担で対策されており,その解消手段としては,一般的に共同受信施設によっているが,このほか,SHFテレビジョン放送局や,建造物側において受信障害発生防止のため建造物の配置,形状等に工夫を加えるもの,反射障害に有効な電波吸収体設備等を利用するものも多くなっている(<1>-1-2-5表参照)。
 なお,63年度から民間放送のテレビジョン放送設備及び都市受信障害解消促進事業に対して,財政投融資の特利融資の道が開かれ,難視聴解消の促進が図られることとなった。

 (3)CATVの展開

 ア 多チャンネルCATVの展開
 CATVは,多チャンネル特性等の優れた機能を生かして,高度情報社会における地域密着型の公共性の高い放送メディアとして,健康で文化的な生活,豊かな都市生活を確保する上で大きな役割を果たすことが期待されている。
 特に,大規模,多チャンネル,多目的のいわゆる都市型CATVは今後のCATVの典型として注目を集めており,62年度末現在,18事業者21施設が許可されている。このうち,8施設が既に開局しており,従来のテレビジョン放送,衛星放送のほか,地域情報や各種の専門情報が30にも及ぶチャンネルで提供されている。
 イ CATV番組供給
 多チャンネルCATVの普及促進を図るためには,テレビジョン放送の再送信以外の独自の良質な番組ソフトが大量かつ円滑に供給される体制が必要である。
 近年,CATV番組供給事業は活発化しており,既にビデオテープの輸送により番組供給している会社が約20社営業している。
 さらに,郵政省では,64年の春に打上げが予定されている通信衛星を介して全国のCATVに多彩な番組ソフトを供給する「スペース・ケーブルネット構想」を推進しており,これに対応して大型の番組供給会社が相次いで設立されている。これらの番組供給事業者の多くは,ニュース,教育,音楽,スポーツ,映画等の専門チャンネルの提供を行う予定である。

 (4)FM多重放送の実用化に向けて

 放送事業者から要望のあったFM放送の電波に重畳して,音声,文字等を送るFM多重放送が実用化されることとなった。
 FM多重放送には,FM音声多重放送及びFM文字多重放送の2種類がある。
 63年1月,電気通信技術審議会からFM多重放送を行うために必要な技術的条件に関する一部答申が出された。
 この答申を受け,電波監理審議会への諮問を経て,63年4月,FM多重放送の実施に必要な郵政省令の改正等を行った。
 これにより,FM多重放送の免許申請が可能となり,近々,FM多重の放送局が開局する予定となっている。

<1>-1-2-5表 都市受信障害解消世帯数の概要(62年3月末現在)

 

 

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