昭和63年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

1-4-2 地域の発展に向けて

 既に述べたように,地域の情報化の推進の主体は地域のかなめである地方公共団体であり,その地域の住民であり企業である。
 地域の情報化を推進するためには,全国レベルの施策と同時に,地域の実状に合わせたきめ細かな施策が必要である。
 郵政省では,地域における情報化を支援するため,政策を展開している。
 地域の情報化を進める上で,様々な課題があるが,今後とも,特に以下のような課題に取り組む必要がある。

 (1)通信料金の低廉化

 情報通信を一層利用しやすくし,各地域の情報化を推進するためには,通信料金全般の一層の低廉化を図ることが重要である。
 そのためには,電気通信事業分野における,公正かつ有効な競争の確保による市場の活性化が必要である。さらに,料金体系の在り方,通信設備の有効活用の推進,通信市場の拡大などについて,長期的な視野に立った施策の検討が必要である。

 (2)情報やノウハウの積極的提供

 地域の情報化は端緒についた段階である。全体の約半数の地方公共団体では,まだ情報化事業の検討が進んでいない実状にある。
 そこで,実際に進められている情報化事業の内容や,情報化事業の実現に至るまでの課題の解決方法等の情報を積極的に提供することが,情報化事業に着手する手がかりを与える上で有益である。
 また,計画の具体化や,実施している情報化事業の改良に向けて,様々な課題がある。その際,情報化事業の目的や対象に即して,どのような情報内容を提供すれば良いかという,ソフト面のノウハウの提供や,あるいは,どのようなシステムを構築すれば効果的,低コストでシステムを運営できるかという,ハード面でのノウハウの提供といったことが,地域における情報化事業の着実な進展に寄与する。
 したがって,今後,情報化事業や情報通信に関し,積極的な情報やノウハウの提供を進める必要がある。

 (3)ニューメディア端末の普及促進

 ネットワークが地域に広がり,利用が促進されることが,情報化を進める上で重要である。現在,各種のニューメディアが相次いで登場し,地域の情報化事業の推進に大きな役割を果たすことが期待されている。
 通信ネットワークは,端末の普及に伴いその利用価値が高まるため,端末の普及促進が大きな課題となっている。
 端末の普及のかぎは,コスト負担の低減とともに,CATVやビデオテックスにみられるように,その提供する情報内容の充実,あるいは,データ通信やパソコン通信の場合等の情報の収集・処理・加工を効率的に行うことである。
 このためには,技術開発によるコストの低減,利用者のニーズを的確に把握することが重要である。

 (4)既存の情報通信システムの効果的利用

 情報化の促進は,単にニューメディアによるものだけでなく,郵便,電話,放送,無線等の従来からあるメディアの効果的活用によっても行われる。
 地域の情報化の内容や対象によっては,これら既存の情報通信システムの活用が有効である。その際,単に一つのメディアだけではなく,目的に応じて複数のメディアや手段を組み合わせて利用するなどの新しい利用分野,利用方法を開発することが重要である。

 (5)地域の実状に応じたきめ細かな政策の展開

 都市規模や,産業や気候及び地理的状況等の地域の特性に応じ,あるいは,情報化の目的や対象等の各地域の状況によって,必要とされる情報通信システムの内容や,情報化事業の進め方も自ずと異なる。
 例えば,大都市では,複雑な都市機能を支えるため,高速大量の情報の提供や処理を行う情報通信網の活用が必要とされる。過疎地や離島では,経済基盤が弱く,情報通信量も低いが,これらの地域の生活を支え,発展を図るには,多地点間少量の通信を低廉な価格で行えるようなネットワークの整備や,難視聴の解消をはじめとする放送の整備が必要である。豪雪地帯では,豪雪に耐え得る高い信頼性を確保する必要がある。また,家庭では消費生活やコミュニティ情報が求められ,産業分野では直接経済活動に結びついた情報が必要とされる。
 それぞれの状況に応じた,ソフト,ハードの構築が求められており,また,既存のメディアも含めた最も適切なシステムの構築や開発が必要とされる。
 このように,地域の実状に合わせた,また,利用者に合わせた,きめ細かな情報化政策を展開することが,今後の地域の社会経済の発展のために求められている。

 

 

<2>1-4-1 地域の情報化における郵便局の活用 に戻る <2>2 転換期の国際通信 に進む