昭和63年版 通信白書

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2-2-1 国際化の現況

 ここでは,投資,貿易,出入国等を中心に,我が国の社会,経済の国際化の現況について概観する。

 (1)投 資

 ア 対外直接投資の増加
 企業の海外での事業活動の増大に伴い,我が国の対外直接投資は,近年急増している。
 我が国の対外直接投資実績は,55年度までは,50億ドルに満たなかったものが,61年度には,223億千万ドルに達した。
 これを業種別にみると,金融,保険業や不動産業に対する投資が近年急速に伸びていることが特徴となっている(<2>-2-2-1図参照)。
 また,州別にみると,北米のシェアが,50年度の27.6%から61年度には46.8%,欧州のシェアが,50年度の10.2%から61年度には15.5%と大幅に伸びており,先進国に対する投資が特に目立っている(<2>-2-2-2図参照)。
 イ 対内直接投資等の動向
 外国投資家による対内直接投資は,50年代前半は年平均2億7千万ドル程度であったものが,50年代後半は年平均6億7千万ドル以上に達している(<2>-2-2-3図参照)。
 国籍別にみると,61年度,米国が4億8,800万ドルと全体の51.9%を占めている。
 また,外国投資家による子会社・合弁会社の設立及び既存会社への新規参入の傾向を社数でみると,60年度は対前年度比9.9%増の679社で,50年度の254社に比べると2.7倍となっている。
 国籍別にみると,60年度,米国が205社と全体の30.2%を占めている。

 (2)貿易

 ア 輸 出
 62年の我が国の輸出額は2,292億ドルで,50年(558億ドル)の4.1倍である。
 これを州別にみると,北米,アジア及び欧州で全体の9割以上を占めている(<2>-2-2-4図参照)。
 イ 輸 入
 62年の我が国の輸入額は,1,495億ドルに達している(<2>-2-2-5図参照)。
 主な輸入相手国は,米国,インドネシア,韓国,オーストラリア等である。

 (3)出入国

 人の国際交流の面でも,日本人の渡航や海外赴任,そして外国人の来日が増加し,国際化が進んでぃる。
 ア 日本人の海外渡航
 61年の出国日本人数は,対前年比11.5%増の551万6,193人であり,50年の2.2倍となってぃる。
 このうち8割以上が観光等を渡航目的としているので,企業の海外進出と密接な関係があると考えられる海外支店等への赴任という渡航目的の出国についてみると,61年は,5万8,951人であった。
 この渡航先を州別にみると,アジア,北米及び欧州で大部分を占めている(<2>-2-2-6図参照)。
 また,「海外在留邦人数調査統計」(外務省)によると,61年の長期滞在者数(在留邦人数から永住者数を除いたもの)は,25万1,545人であり,50年の1.8倍となっている。
 これを州別にみると,北米,欧州及び大洋州の伸びが大きい。
 イ 外国人の入国
 61年の入国外国人数は,202万1,450人であり,50年の2.6倍であった。
 このうち,商用目的の入国外国人数をみると,50年代後半になって急速に増加している(<2>-2-2-7図参照)。

 (4)企業の現地法人等の設立

 企業の国際進出の形態として現地法人の設立や海外支店や工場の設置がある。
(現地法人の増加)
 通商産業省の調査によると,53年度以降の現地法人数は増加傾向にある。業種別にみると,製造業では,現地法人数は増加しているものの,その構成比は減少傾向にあり,また,近年では,商業が4割近くを占めている(<2>-2-2-8図参照)。
 さらに,59年度の現地法人の州別分布状況をみると,アジア(中近東を含む。)及びアメリカ州(北米及び中南米)で全体の4分の3を占めている(<2>-2-2-9図参照)。
(支店等の設置)
 我が国の対外直接投資のうち,支店,工場等の設置等に係るものは,61年度には,対前年度比72.0%増の5億6,600万ドルで,50年度の4.3倍となっている。これを州別にみると,北米が2億8,900万ドル.で全体の51.1%を占めているが,そのほとんどは,米国である。欧州は,1億6,700万ドルであり,国別には,フランス,西独,スペインの順となっている。

<2>-2-2-1図 業種別対外直接投資の推移

<2>-2-2-2図 州別対外直接投資の推移

<2>-2-2-3図 業種別対内直接投資の推移

<2>-2-2-4図 州別輸出額の推移

<2>-2-2-5図 州別輸入額の推移

<2>-2-2-6図 渡航先別出国日本人数(海外支店等へ赴任)の推移

<2>-2-2-7図 商用目的の入国外国人数の推移

<2>-2-2-8図 業種別現地法人数の推移

<2>-2-2-9図 現地法人の州別分布状況(59年度)

 

 

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