昭和63年版 通信白書

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1-3-3 情報提供事業の推進と地域の特徴

 情報事業の実施,情報通信関連産業の立地等の,地域の情報化やそれを取り巻く環境は,地域ブロック,あるいは都市規模や人口規模により異っている。
 こうした中で,地域の情報化を成功させるために,その実状に応じて展開することが必要である。

 (1)地域ブロック別及び都道府県別の特徴

 ア 情報提供の進展状況
 情報提供事業の実施状況を地域ブロック別にみると,北陸,中国及び沖縄が高くなっている(<2>-1-3-50表参照)。また,情報通信関連産業の集中を背景として,東京圏及び大阪圏においても高くなっている。
 これを都道府県別にみると,当該都道府県の中で情報提供事業を実施している市区町村の割合が高いものは,石川(50.0%),山形(43.8%)となっており,東京(36.2%)がこれに次いでいる。このほかには,富山(34.6%)及び岡山(34.6%)が,30%を超えている。これらの県に共通していることは,共同して第三セクターを設立したりするなどして,情報提供事業に参画する市区町村が多いことである。
 このことは,情報提供事業の共同実施が,地域における事業の推進に効果的であることを示している。
 また,情報化の促進意向を都道府県別にみると,積極的に促進したいという市区町村の割合が高いのは,佐賀(40.0%),京都(36.l%),山口(35.6%),神奈川(35.5%),石川(34.4%)等となっており,情報提供事業の実施状況と同様の傾向を示している。
 イ 提供したい情報分野からみた地域の特徴
 提供したい情報分野を地域ブロック別にみると,地域・コミュニティ生活関連情報が東京圏,大阪圏及びこの周辺地域で高くなっている。これは,市区町村の別にみた場合には,区部において高いのと同じ傾向を示している。
 一方,農林漁業関連情報については,北陸,中国,四国,九州で高くなっている。また,観光・レクリェーション情報は,北海道,四国,沖縄において高くなっている。これらの分野の情報は,これらの地域における地域経済の振興を目指す独自情報の創造に寄与することが期待される。

 (2)都市規模別及び人口規模別の特徴

 ここでは,市区町村の別に情報提供事業の特徴を述べ,さらに市部及び町部について,人口規模別の特徴についても言及する。
 ア 区部の特徴
 東京は,地域別情報流通センサスに示されるように,情報化が最も進んでいる地域である。
 区部の特徴は,地域における情報提供事業の実施に当たっても,区自身が推進主体になるという意向が強く示されていること,実際の情報提供でも,ラジオ放送やテレビジョン放送といったマス・メディアの活用が進んでいること,今後についてCATVの利用意向が高いことなどである。
 イ 市部の特徴
 市部については,情報提供事業の実施状況が24.4%,情報化の促進意向は37.0%が積極的に促進したいとしている。市部の特徴は,重視して提供したい情報の分野をみると,区部と同様に,地域・コミュニティ生活関連情報や高齢者・身障者福祉関連情報のような,より住民生活に密着した情報が重視されていることなどである。
 人口規模別にみると,人口20万人以上の規模の大きい市は,比較的区部と似た傾向を示している。一方,人口5万人未満の小規模な市は,過疎地に多く,町村部と似た傾向を示している。
 さらに,人口規模別にみると,人口規模の段階により,格差が生じているということができよう。
 ウ 町村部の特徴
 町村部については,情報提供事業の実施状況が14.8%,情報化を積極的に促進したいという意向の町村は16.5%となっている。また,情報提供事業の検討状況をみても,75.0%が未検討である。
 町村部の特徴は,重視して提供したい情報の中で農林漁業関連情報が50.4%と高いこと,メディアの利用意向について有線ラジオ放送や有線放送電話が24.7%と高く,既に地域に密着したものを利用する傾向があることなどである。しかしながら、全般的には,町村部は全体と似た傾向を示している。
 人口規模別にみた場合,人口3万人以上の町が,市部と比較的同じ傾向を示している。しかしながら,町部の中での人口規模による格差は,それほど大きくない。

 (3)都道府県の動向

 都道府県は,市区町村と比べて,行政区域が広く,財政規模も大きい。これらのことから,地域の情報化の促進に対しても,市区町村とはやや異なる意向をもっている。
 情報関連施策の取組については,市区町村と比べて,かなり積極的である。また,情報提供事業についても,87.2%が実施中と,極めて実施率が高くなっている。さらに,地方公共団体が行う情報提供の変化については,都市部とほぼ同じとらえ方をしている。また,「地方公共団体における地域情報政策に関する調査」(自治省)によれば,各都道府県の総合計画(長期計画,5か年計画等)の中で地域情報化の推進を掲げている(策定中を含む。)ものは,36都道府県となっている。こうしたことから,総じていえば,都道府県は市区町村よりも,情報化に対して積極的である。

<2>-1-3-50 地域ブロック別情報提供事業の実施及び計画・構想状況

 

 

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