第2章 重層情報社会の形成と通信
(1)地域の産業面における活用
(ビデオテックス在宅注文システム 大分県大分市)
大分県大分市で62年6月に運用を開始した,住宅団地日用品購入システムは,ビデオテックス端末機とバーコードリーダーにより,一般家庭からの日用品の在宅注文を可能にするシステムである。
このシステムは,電話による在宅注文に比べて,加入者は,自分の注文内容をテレビ画面で確認でき,バーコードリーダーにより簡単に注文できる点が特徴である。
利用者にとっては,毎日家庭で必要とされる食料品,日用雑貨などを,家庭から手軽に注文でき,買い物のために外出する時間を効率的に使うことができる。特に,高齢者の家庭や共稼ぎの家庭に対しては便利なシステムといえよう。
同システムの加入世帯数は,開始後約2年で約1,000世帯(平成元年3月末現在)であり,現在も増加を続けている。
また,事業者にとっては,品物の一括注文が増え,売上げの増加が期待できることに加えて,品物の受注状況の把握が容易であり,作業の効率化が図られている。
このように,ビデオテックスを利用した在宅注文システムは,住民の生活利便を向上させるとともに,地元産業の経営の効率化を促進し,地域の活性化をもたらしている。
(観光情報システム 岐阜県高山市)
岐阜県高山市では,ビデオテックス及びパソコン通信等を活用して,地域の観光事業や産業を振興するため,61年11月から飛騨高山観光産業振興システムの運用を開始した。このシステムにより,高山市のホテル・旅館等の空室情報や土産物情報等が29台の街頭端末により提供されている。
このシステムは,ビデオテックスの利点を生かし,宿泊施設や物産店の情報を地図やイラストにより,利用者に分かり易く提供することができる。また,加入者端末からの観光情報の入力も容易なため,情報提供者による情報内容の更新も早く,多様な情報が蓄積されている。
平成元年1月末現在,高山市内の宿泊施設,飲食店,土産物店193団体の情報が提供されており,1か月当たりの利用画面数も約47万画面(63年8月時)と多い。しかも,このうち利用画面の約70%が市外からの利用によるものであり(第2-2-11図参照),高山市の観光事業の振興に効果を上げている。
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