平成17年版 情報通信白書

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第1章 特集 「u-Japanの胎動」

1 u-Japan

ユビキタスネット社会とは

 平成13年1月に策定された「e-Japan戦略」のもと、「2005年までに世界最先端のIT国家になる」という目標に向けて政府一体となって取り組んできた結果、世界で最も低廉で高速なブロードバンド環境が実現されるなど大きな成果が上がりつつあり、我が国が自らフロンティアを開拓し、諸外国の目標になる立場になりつつある。一方、今後本格化する少子高齢化社会の中では、安心・安全な生活環境、高齢者等の生きがいづくり、人材の育成、循環型社会の構築など様々な課題が山積しており、こうした課題を解決する手段としてICTへの期待が高まっている。
 u-Japanとは、社会の様々な課題がICTによって解決された2010年の我が国の姿を指す。その理念は、「ユビキタス(あらゆる人やモノが結びつく)」、「ユニバーサル(高齢者等でも簡単に利用できる)」、「ユーザー中心(利用者の視点が融けこむ)」、「ユニーク(個性ある活力が湧き上がる)」の4つからなるが、その中心となるのは「ユビキタス」であり、「人と人」だけでなく、「人とモノ」、「モノとモノ」のコミュニケーションが簡単になされるところが特徴である(図表[1])。例えば、電子タグが食品に付けば、買い物の際に食品の生産流通履歴を簡単に確認できるようになるとともに、レジでの精算を瞬時に済ませることも可能となる。また、街中のいたる所に埋め込まれた電子タグからスロープ、エレベータなどの安全な経路情報が提供されるようになれば、高齢者や障害者も安心して外出できるようになる。これまで情報通信機器は大きくて価格が高いものであったが、今後は、小さくて価格の安いデバイスがいたる所、いたるモノに付くことにより、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」簡単にネットワークにつながり、ICTが草の根のように生活の隅々にまで融け込むこととなる(図表[2]、[3])。

 
図表[1] u-Japanの理念

図表[1] u-Japanの理念

 
図表[2] u-Japanの生活面での具体的な利用シーン例

図表[2] u-Japanの生活面での具体的な利用シーン例

 
図表[3] u-Japanの産業面での具体的な利用シーン例

図表[3] u-Japanの産業面での具体的な利用シーン例

 他方、u-Japanを実現していく上では、新たな課題も出てくる。例えば、ネットワークを通じて個人の購買履歴や行動履歴が簡単に把握できるようになれば、こうした個人情報が流出したり、悪用されたりするおそれがある。また、家庭内の様々な機器がネットワークとつながれば、こうした機器に対してもウイルスや不正アクセスの被害が発生する可能性がある。
 こうした課題を乗り越えつつ、u-Japanを理想的な形で実現していくため、総務省では、平成16年3月に「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」を設置し、同年12月に「u-Japan政策」を取りまとめた。

関連ページ u-Japan政策については3-1-2参照

 第1節 国民・企業のユビキタスネットワーク利用

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