昭和59年版 通信白書

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13 高精度測位技術の研究開発

 電波研究所では,59年度から開始されるNASAとの共同実験に使用するため,VLBIの開発を54年度から5か年計画で進めてきた。58年10月にシステムがほぼ完成したため,11月5日米国のVLBI局(モハービ一局及びオラエンズバレー電波観測所)との間で,日米間で初めてのVLBI観測(試験観測)を行い,到達時間差決定精度を目標通り0.1nsが達成できた。さらに,59年1月23日及び2月25日の2回にわたって,日米間の基線長を決定するための本格的な観測(24時間観測,電波星13)を,モハービー局及びハットクリーク局を相手に行い,日米間の基線長を目標通り2cmの精度で決定することができ,VLBIシステムの開発は計画通り58年度をもって終了した。
 開発したVLBIシステムを用いて,電波研究所は,59年度からNASAと共同して,地殻プレートの運動を検出するための国際的なVLBI観測を開始し,長期的地震予知等に役立てる。また,米国海軍天文台(USNO)等との間で各国の標準時を高精度(目標1ns以下)で比較する実験を59年度から実施する。その他,国内では,建設省国土地理院の整備する5mアンテナのVLBIシステムとの間で60年度からVLBI実験を行い,測地網規正や地殻変動の測定に役立てていく。さらに,衛星の精密軌道決定と宇宙監視にも応用し,また,中国とも近い将来,共同実験を行っていくことが合意されている。

 

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