平成2年版 通信白書

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第1章 平成元年通信の現況

(5)航空衛星通信システムの導入

 航空分野においては、現在、VHF帯及びHF帯の電波を用いて航空交通管制、運航管理通信等が行われているが、[1]VHF帯については通信範囲が見通し距離に限られること、[2]長距離通信に用いられるHF帯については、電離層伝搬により通信が不安定、低品質であること、[3]グローバルな航空衛星通信を実施するためには既存の空対地の通信システムでは制約があること、などから、航空衛星通信の実用化に対するニーズが強く出てきている。
 また、国内外の航空会社から、長距離国際線での公衆電話サービスの提供、航空機の安全運航のためのデータ通信の導入を目的として、衛星通信による高品質な通信回線の提供を求める声が高まっており、航空衛星通信システムの確立に向け各国・諸機関において検討が進められている。一方、こうした動きを受け、インマルサットでは、昭和60年に航空通信サービスも提供できるように条約改正を行い、元年10月に発効したところである。
 このような状況のもと、郵政省通信総合研究所、日本航空(株)、KDD等が中心となって昭和62年10月からインマルサット衛星を使った世界初の航空衛星通信実験(電話の通信実験及びデモンストレーション)を数次にわたり行い、昭和63年3月に終了したところであるが、引き続き実用化のためのさらに詳細な実験を2年から行う予定である。
 郵政省では、これらの実験結果をもとに、また、世界的な技術基準策定等の動きを配慮しつつ、我が国に航空衛星通信システムの導入を図るため、元年11月に電波法の一部改正を行うとともに、元年12月に関係省令の改正を行った。これにより、2年10月頃から航空衛星通信サービスが開始される予定である。

 

 

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