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第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0
3 Society 5.0の実現とその真価の発揮に向けて

3 Society 5.0の実現とその真価の発揮に向けて

(1)デジタルデータにより従来の枠組みや概念に「ゆらぎ」をもたらすICT

冒頭に述べたような経済・社会の大きな変化がICTに関係しているとするならば、なぜICTはこのような変化をもたらしているのだろうか。この問いに対する答えは、ICTは経済活動に不可欠な様々な情報のやり取りをデジタルデータで行うことを可能にすることを通じ、経済活動の根本となるコスト構造を大きく変えることで、従来の枠組みや概念に「ゆらぎ」をもたらしているということである。

具体的には、ICTによるコスト構造の変化が時間・場所の制約を超えた経済活動を可能とし、「市場の拡大化」をもたらしている。例えば、地方の企業であっても世界の消費者や企業とつながることができるとともに、前述のグローバルな分業を促進している。同時に、従来は探し当てられない、あるいは条件がマッチングしないといったことから成り立たなかったニッチ市場を創出するという、「市場の細粒化」ももたらしている。これにより、規模の制約を超えた経済活動も可能としている。更に、ICTによるコスト構造の変革は、企業同士や人と企業の関係にも再構築を迫っている。

そして、デジタルデータが価値の源泉となっていく。これらのことは連動しながら、これまでの業態の概念に収まらない新たなビジネスモデルを生むとともに、従来のあらゆる産業には、ICTと一体化していくことでビジネスモデル自体を変革していく「デジタル・トランスフォーメーション」の必要性をもたらしている。他方、従来のコスト構造に基づく既存のビジネスモデルが成り立たない場合には、デジタル・ディスラプション(デジタルによる破壊)を引き起こしている。

「ゆらぎ」が生じているのは企業のビジネスモデルや形だけではない。人と企業の関係にも「ゆらぎ」が生じており、このことが新たな働き方を生んでいる。

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