昭和57年版 通信白書

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3 通信関連技術の進歩

 近年,通信関連技術の進歩には著しいものがあるが,その通信関連技術の基盤をなしているのは,LSIに代表される素子技術,光ファイバ通信技術及び衛星通信技術である。
 通信用素子技術は,真空管からスタートし,トランジスタ,ICさらにLSIと高密度化・高信頼化・高速化の道を進み,通信技術の発展に大きく寄与してきた。また,LSI技術は,超LSIとして数ミリ角の素子中に数十方個以上のトランジスタ回路が集積されるような高密度,高性能のものが生まれようとしている。さらに,新しい素材として,ガリウムひ素半導体,ジョセフソン素子等の研究も進み,超高速化・超小型化に向っている。
 伝送媒体としての光ファイバは,低損失,広帯域,軽量細径等の特徴をもつことから,光ファイバ通信は,経済性,伝送品質等で優れた通信方式である。光ファイバ通信は,既に一部で実用化段階になっているが,さらに高性能化に向けて,光ファイバの伝送低損失化,レーザー等の光素子の機能向上,長寿命化,ケーブル化技術等について研究開発が進められている。
 一方,衛星通信技術も,1965年国際通信の分野において最初の商業衛星通信(アーリ・バード)の運用が開始されて以来,急速に進歩し,インテルサットI号系衛星では電話240回線又はテレビジョン1回線にすぎなかったものが,近年のインテルサット<5>号系衛星では電話1万2千回線及びテレビジョン2回線という大容量を有するまでになった。また,通信回線の大容量化は,回線・年当たり投資額の低下をもたらし,経済化が顕著になっている。衛星通信は,国内衛星通信,海事衛星通信等用途も多様化し,今後ますます利用の増加が見込まれることから,回線容量の増大,信頼性の向上,衛星の長寿命化等の研究開発が進められている。
 このようなLSI技術,光ファイバ通信技術及び衛星通信技術等通信関連技術の研究開発は,近年におけるディジタル技術の開発とあいまって通信システムのディジタル化をもたらし,端末やネットワークの経済化と機能向上,さらには,新しい通信サービスの発展に大きな役割を果たすものと考えられる。

 

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