昭和57年版 通信白書

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2 国際通信回線の現状

 国際通信回線は,国際電気通信需要の増大に伴って著しく増加しており,56年度末において国際電電が運用している回線は,前年度末に対して電話回線357回線,加入電信回線196回線,専用回線24回線,その他39回線,合計616回線が新増設された結果,総計5,169回線に達している。
 これを回線種類別,対地別にみると,それぞれ第2-2-19表及び附属資料第15表に示すとおりであり,大容量,高品質の通信衛星及び海底ケーブルを経由する広帯域回線が大部分を占めている。
(1)海底ケーブル
 国際電電がアジア・太平洋域で運用している国際海底ケープルは,第一太平洋横断ケーブル(TPCl),第二太平洋横断ケープル(TPC2),日本海ケーブル(JASC),日本・中国間ケーブル(ECSC),沖縄・ルソン・香港ケーブル(OLUHO),沖縄・台湾間ケーブル(OKITAI),ASEANケーブル(PHILSIN,<1>NSIN)及び日本・韓国間ケーブルの8ケーブルがあり,米国及び東南アジア諸国等を結んでいる。
 これら我が国の国際海底ケーブルは,第2-2-20表のとおりである。また,現在アジア・太平洋域で計画されている海底ケーブルは,第2-2-21表のとおりであり,国際電電ではそれぞれ必要な回線を取得することとしている。
 なお,かねてより懸案となっていた沖縄と本州を結ぶ国際通信用の海底ケーブル建設が,電電公社・国際電電間の調整が整い,国際電電により敷設されることとなった。
 現在,沖縄には第二太平洋横断ケーブル,OLUHOケーブル,沖縄・台湾間ケ-ブルの3条の国際ケーブルが陸揚げされており,沖縄と本州間の通信回線はすべて電電公社のマイクロウェーブ回線及び海底ケーブル等が使用されている。近年,沖縄を経由して我が国と諸外国との間に発着する国際通信需要が年々増加していること,また,国際通信網建設における国際ルールによって,本土・離島間は国際ケーブルの延長区間と位置付けられることなどから,国際通信専用ケーブルを早急に建設することとしたものである。
 今回の決定により,57年度に海洋調査,58年度に建設,59年度に運用開始が予定されている。
(2)通信衛星
 インテルサットの世界通信シスデムは,56年度末においてIV号系衛星(電話換算4,000回線及びテレビ2回線の容量をもつ。),IV-A号系衛星(電話換算6,000回線及びテレビ2回線の容量をもつ。)及びV号系衛星(電話換算1万2,000回線及びテレビ2回線の容量をもつ。)が太平洋,大西洋及びインド洋上に計15機が設定運用(又は予備配置)されており,世界の通信のかなめとなっている。
 また,インテルサット衛星を利用する各国の衛星通信所(地球局)の増加-も著しく,57年1月末でその数は124か国(地域を含む。),311局(アンテナ数397)に達している。
 我が国では,国際電電が茨城衛星通信所(茨城県高萩市)と太平洋上のインテルサット衛星を介して米国,カナダ,オーストラリア及びアジア諸国との間に通信回線(56年度末現在887回線)を設定しており,また,山口衛星通信所(山口県山口市)とインド洋上の衛星を介してアジア,ヨーロツパ中東及びアフリカ諸国との間に通信回線(56年度末現在656回線)を設定している。
(3)対流圏散乱波通信
 対流圏散乱波通信(43年6月開通)は,我が国と韓国との間の国際通信に用いられており,56年度末においては163回線が現用に供されている。
(4)短波無線
 現在,国際電電が運用している短波回線数は,対外直通回線全体の0.5%を占めるにすぎなくなっており,今後の短波回線の国際公衆電気通信面における利用は、広帯域回線のない対地との通信(56年度末における利用は,対北朝鮮,ネパール及びエティオピアのみとなっている。),広帯域回線に障害が起きたときのバックアップ回線,船舶通信等に限定されていくと思われる。

第2-2-19表 対外直通回線数の推移

第2-2-20表 我が国の国際海底ケーブル

第2-2-21表 計画中の主な海底ケーブル

 

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