昭和57年版 通信白書

2　万国郵便連合（ＵＰＵ）

（1）概　要
　万国郵便連合（加盟国165）は，創設以来百年有余の歴史を有する国際連合の専門機関の一つで，郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を増進し，かつ，文化，社会及び経済の分野における国際協力の発展に寄与することを目的とする政府間国際機関である。
　我が国は，1877年（明治10年）以来ＵＰＵ加盟国であり，現在，連合の常設機関である郵便研究諮問理事会の理事国として連合の活動において指導的な役割を果たしている。
　連合の最高意思決定機関としては，原則として5年に1回開催される大会議があり，連合の条約類は，この大会議で検討，改正される。我が国は，加入が義務的である万国郵便連合憲章，万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約並びに加入が任意である小包郵便物に関する約定等連合の条約の当事国である。
　連合の機関は，ＵＰＵ憲章及びＵＰＵ一般規則に基づいて，第2-8-1図のように構成されている。
　連合の常設機関として，国際事務局がスイスのベルンに置かれ，連合の日常の活動を処理している。この国際事務局には日本人職員2名が勤務している。
　また，ＵＰＵ憲章に基づき，8の限定連合が設立されており，我が国は，このうちアジア＝太平洋郵便連合に加盟している。
　（2）第18回万国郵便大会議で作成された条約類の実施
　第18回大会議は，1979年9月12日から10月26日までブラジルのリオ・デ・ジャネイロで142か国が参加して開催された。
　主要な決定事項には，1981年から1985年までの連合の年次経費の最高限度額の決定，連合の年次経費の前払制度への移行，執行理事会及び郵便研究諮問理事会の理事国の選出，連合の通貨制度へのＳＤＲ（特別引出権）の導入，価格表記書状に関する約定の規定の万国郵便条約への統合，通常郵便物の料金の改定等がある。この大会議で採択された新条約類は，1981年7月1日から施行された。
　なお，第19回大会議は，1984年西独で開催される。
　（3）執行理事会（ＣＥ）
　執行理事会は，大会議から大会議までの間の連合の事業の継続を確保することを任務とし，連合の年次予算等の審査，承認を行うほか，大会議から付託された案件を研究し，その結果を条約類の改正案等の形で次の大会議に提出する。理事国は，大会議ごとに選出され，年1回連合の所在地で会合する。我が国は，1969年から1979年まで2期理事国を務めたが三選禁止の規定により，第18回大会議では執行理事会の理事国選挙には立候補できなかった。同理事会の1982年の年次会合は4月29日から5月13日まで開催され，我が国は郵便研究諮問理事会の委員会の議長国としてこれに出席した。
　（4）郵便研究諮問理事会（ＣＣＥＰ）
　郵便研究諮問理事会は，郵便に関する技術上，業務上，経済上及び技術協力上の諸問題につき研究を行い，意見を表明することを任務とし，1957年に創設された連合の常設機関であり，大会議が選出した35の理事国で構成されている。我が国は，理事会創設以来，理事国を務めており，第18回大会議においては，理事会の第3委員会議長に選出された。
　第3委員会は，郵便機械化，局舎及び自動車輸送に関する問題を検討しており，現在これらに関する12の研究を進めている。我が国は，この委員会の議長国として，次期大会議（1984年開催予定）までの間委員会の活動を指導，推進し，作業の進ちょく状況あるいは研究結果を理事会に報告することになっている。1981年の理事会年次会合は，10月22日から同月29日までスイスのベルンにおいて開催された。
　（5）アジア＝太平洋郵便連合（ＡＰＰＵ）
　アジア＝太平洋郵便連合は，アジア及び太平洋地域内における郵便業務の改善及び郵便上の協力関係の緊密化を図るためにＵＰＵ憲章に基づいて設立された限定郵便連合であり，現在，域内のＵＰＵ加盟国中18か国が加盟している。
　我が国は，1968年に加盟し，以来，特に技術協力の面で積極的に貢献しており，郵便業務の面では，本連合加盟国あて船便の書状及び郵便葉書の料金につき，一般の外国あての料金を40％引き下げたものを適用している。
　この連合の最高機関は大会議であるが，第4回大会議は，1981年3月にインドネシアのジョグジャカルタで開催された。主要な決定事項にはＡＯＰＵ（アジア＝オセアニア郵便連合）の名称のＡＰＰＵ（アジア＝太平洋郵便連合）への改称，連合への加盟手続の簡易化，連合加盟国あての船便郵便物に適用される低減料金の範囲の明定等がある。この際に締結された条約は，1982年7月1日から施行された。
　また，この連合の事業の継続を確保することを任務とする執行理事会は．すべての加盟国で構成され，原則として1年に1回会合することとされている。