昭和57年版 通信白書

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第4章 データ通信

第1節 概況

 電子計算機等を電気通信回線に接続してデータの伝送と処理とを一体的に行うデータ通信は,ここ数年来著しい発展を遂げてきたが,昭和56年度においても総体としては順調な発展を示した。
 まず,データ通信回線の利用状況をみると,国内データ通信回線数は前年度に比べ18%の増加となった。このうち特定通信回線にあっては,規格別の構成比からみれば,ユーザがその音声帯域を自由に利用できるD-1規格が51%を占めている。他方,公衆通信回線にあっては電話型回線の占める割合が多く92%を占めている。また,国際データ通信回線も21%増と大きな伸びを示した。
 次に,データ通信のシステム数については,国内データ通信システムは,56年度末現在7,171システムが設置されており,対前年度比22%,1,292システムの増加となった。また,国際データ通信システムは,56年度末現在195システムが設置されており,対前年度比25%,39システムの増加となっている。
 データ通信サービスを他人の需要に応じて提供する情報通信事業は,電電公社,国際電電及び民間企業により営まれている。我が国の情報通信事業は,全米的・全世界的なネットワークを形成している米国の情報通信事業に比べると,事業規模やネットワーク規模等からみても小規模なものがほとんどであるが,最近においては,ネットワーク・インフォメーション・サービス(NIS)へ発展しようとする動きが現われてきている。
 データ通信システムのネットワーク化は,社会活動の高度化・効率化,国民生活の利便の向上に資するものである。郵政省では,ネットワーク技術の高度化に対応するため52,53年度において異機種コンピュータ間のデータ通信を可能とする標準プロトコル(CCNP)を設定したほか,54年度以降プロトコル検証システムの開発,データベース利用技術の開発調査,データ通信向き言語の開発調査を実施してきている。
 また,データベースは,知的資源であり,良質豊富なデータベースが容易かつ安価に利用できることは,科学技術,経済社会等の発展に寄与するものと考えられるが,現在,この分野において我が国と米国との間には大きな格差がある。我が国のデータベース構築を早急に行うためには,データべースの作成,必要な技術開発及びネットワーク化等について,関係機関が協力して総合的な振興策を推進する必要がある。
 ところで,データ通信がこのように発展するに伴い,ひとたび障害,エラー,犯罪等が発生した場合には,その影響は極めて重大なものとなるおそれがある。このため,データ通信システムにおけるデータの漏えい,改ざん,き損等の防止に有効なデータ保護手法について,早急な検討が必要となっている。郵政省では,ネットワーク上のデータ保護に最も有効な手法として暗号化手法を取り上げ,標準的な利用手法「ミックス方式」を57年3月に開発した。
 

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