昭和57年版 通信白書

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9 スペクトラム拡散地上通信方式

電波研究所は,陸上移動通信を主に対象とするスペクトラム拡散方式を開発するために,54年度からその適用性について調査を実施し,本格的な研究を開始した。
その結果,この方式を陸上移動通信に利用するには,広帯域多重波伝搬現象が初期接続と同期保持に大きな障害を与えることが判明した。そこで,その具体的解決策を取り入れて柔軟性をもたせるために,種々の設定条件と範囲を考慮した直接拡散(SSDS)及び周波数ホッピング(SSFH)の変復調法と,広帯域フェージングシミュレータ(WBFS)で構成した最大帯域10MHzをもつ国産で初めての基本システムのハードウェアを,56年度前半に予定どおり完成し,引き続き各種の室内実験を実施した。その結果,新開発したSSDS,SSFHは主な障害となる周波数選択性フェージングに対し,誤り率,回線接続時間,受信音声等に顕著な改善効果を有することを確認した。取り分け,SSFHの多数決判定法等による周波数ダイバシティ効果は威力のあることが明らかとなった。
さらに,これらの成果を活用して,次期システムとして伝搬実地試験用となるシステムモデルの試作に着手した。このシステムは,同時利用の通信局数を増加させるための符号化法等を具備した可搬用の双方向SSFHシステムであり,野外妨害実験等ができるように6台で構戚されている。

 

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