平成10年版 通信白書

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第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

第2節 生活と通信

  4. 趣味・娯楽

(2) 趣味・娯楽分野における情報通信メディアの利用実態

ア CS放送、ケーブルテレビ
(ア) 利用実態
 趣味・娯楽分野におけるCS放送とケーブルテレビの利用者属性を見ると、CS放送では30代、40代の年齢層や男性の割合が高く、ケーブルテレビでは50代、60代の年齢層や女性、特に主婦の割合が高くなっている(第1−2−29図、第1−2−30図参照)。
 実際の視聴状況については、CS放送視聴者の64.4%、ケーブルテレビ視聴者の83.8%が、視聴可能なチャンネル数は11チャンネル以上あるとしている(第1−2−31図参照)。
 一方、視聴頻度については、CS放送とケーブルテレビともよく利用している人は6割弱、ときどき利用している人は約3割と、約9割の人が視聴している(第1−2−32図参照)。
 また、NHK放送、衛星放送及びケーブルテレビの1か月の料金の支払額の平均は7年が1,551円、8年が1,669円、9年が2,233円と初めて2,000円を超えた(「動向調査(世帯)」)。
 これらの結果から判断すると、従来総合編成されていた放送と異なり、専門チャンネルを各自の趣向に合わせて選択するスタイルが出現している。また、テレビの視聴スタイルとしては、従来の受動的な視聴に加えて、比較的能動的な視聴が増加してくると考えられる。
(イ) 生活の変化
 CS放送とケーブルテレビについて、「自分の趣味に合う番組の視聴」に関しての期待と効果について見ると、「期待し、その効果があった」又は「期待しなかったが、効果があった」はそれぞれ高い割合を占めており、番組の内容については、趣味・娯楽の充実を図るという目的に合致し、満足している人の多いことが分かる(第1−2−33図参照)。

第1−2−29図 CS放送の利用者属性(グラフ)
第1−2−30図 ケーブルテレビの利用者属性(グラフ)
第1−2−31図 視聴可能なチャンネル数(グラフ)
第1−2−32図 CS放送とケーブルテレビの視聴状況(グラフ)
 また、視聴している分野では、CS放送、ケーブルテレビとも趣味・娯楽分野が多いが、ケーブルテレビでは、ニュースや天気予報といった地域と密接に関係のある番組がよく視聴されている(第1−2−34図、第1−2−35図参照)。
(ウ) 今後求めるサービス
 ケーブルテレビは光ファイバの導入による大容量・高品質化や、通信サービスの提供等により地域の総合的な情報通信インフラとしての発展が期待されており、利用者サービスの向上が期待される。新サービスの利用意向については、「ビデオ・オン・デマンド」が62.9%、「インターネット接続サービス」が36.4%、「電話サービス」が13.6%となっている(「生活調査」)。

第1−2−33図 自分の趣味に合う番組の期待と効果(グラフ)
第1−2−34図 CS放送の分野別視聴チャンネン数(グラフ)
第1−2−35図 ケーブルテレビの分野別視聴チャンネン数(グラフ)
(エ) 問題点
 CS放送、ケーブルテレビについては、「加入料や視聴料金が高い」、「番組表がわかりにくい」などについて不満を感じている(第1−2−36図、第1−2−37図参照)。

第1−2−36図 CS放送の問題点(グラフ)
第1−2−37図 ケーブルテレビの問題点(グラフ)
(オ) 他メディアとの代替
 CS放送加入後におけるその他メディアとの接触時間の変化について見る。「減った」ものは「レンタルビデオの利用回数」、「CS放送以外のテレビ放送を見る時間」の順となっている。接触時間が変わらないものとしては、「新聞を読む時間」、「本・雑誌を読む時間」となっており、CS放送は専門性が強いので、映像メディアとCS放送は代替関係にある一方、活字メディアとCS放送では、関連がないことが分かる(第1−2−38図参照)。
 また、ケーブルテレビ加入後におけるその他メディアとの接触時間の変化について見ると、全メディアにおいて「変わらない」という回答が多く、ケーブルテレビはCS放送より他メディアの代替が小さいといえる(第1−2−39図参照)。

第1−2−38図 CS放送加入前と後の各メディアとの接触時間の変化(グラフ)
第1−2−39図 ケーブルテレビ加入前と後の各メディアとの接触時間の変化(グラフ)
イ インターネット、パソコン通信
(ア) 利用実態
 趣味・娯楽分野におけるインターネットとパソコン通信の利用者属性は他のメディアと比較して、女性が少なく、60歳以上の利用者では極端に少なくなっている(第1−2−40図、第1−2−41図参照)。

第1−2−40図 インターネットの利用者属性(グラフ)
第1−2−41図 パソコン通信の利用者属性(グラフ)
第1−2−42図 インターネットのプライベート利用場所(グラフ)
 プライベートな目的でインターネットを利用している場所は「自宅」が77.3%と、大半を占めている(第1−2−42図参照)。また、インターネットのプライベート目的の利用頻度は「毎日」が35.6%、「1週間に数回」が46.3%となっており、よく利用されていることが分かる(第1−2−43図参照)。プライベートの利用時間帯では「23時〜8時」の深夜の利用が4割占めている(第1−2−44図参照)。
(イ) 生活の変化
 インターネットで提供されている各種情報のうち、ユーザーの接触率が高い分野は、「趣味・娯楽」、「ニュース」、「企業」であり(第1−2−45図参照)、インターネットは趣味・娯楽分野にとって重要なものとなってきている。

第1−2−43図 インターネットのプライベート利用頻度(グラフ)
第1−2−44図 インターネットのプライベートな利用時間帯(グラフ)
第1−2−45図 インターネットで見たことのある情報(グラフ)
 「趣味・娯楽」に関して効果があったかどうかについては、インターネットで63.0%が、パソコン通信で63.2%が効果があったとして、概ね満足している(第1−2−46図参照)。

第1−2−46図 趣味や娯楽の満足度(グラフ)
第1−2−47図 インターネットの問題点(グラフ)
(ウ) 問題点
 問題点としては「映像が送られてくるのが遅い」、「利用料金が高い」、「代金支払の時にクレジットカード番号を送信するのが不安」、「プライバシーの侵害やいやがらせが不安」と、利用環境やセキュリティ・プライバシー保護に問題があるとしている(第1−2−47図、第1−2−48図参照)。
第1−2−48図 パソコン通信の問題点(グラフ)
第1−2−49図 ホームページ公開の問題点(グラフ)
 一般個人ユーザーの中にもホームページを作成している人が増えているが、「生活調査」によると、現在公開中又は過去にホームページを作成したことのあるユーザーは40.6%、今後作成したいと考えているユーザーは36.3%にのぼっている。
 しかし、ホームページを公開する上で気がかりなことは、「自分の名前や住所などを勝手に使われる」、「電子メールなどで嫌がらせを受ける」、「ページの更新に手間がかかる」となっており、プライバシー保護の問題が上位を占めている(第1−2−49図参照)。
 今後の利用意向については、65.0%が「非常におもしろくこれからも続けたい」としており、今後も様々な分野で普及・活用されることが予想される。



 

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