平成10年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第4節 放送政策の推進

  3. 放送の国際化の推進

(1) 我が国からの映像国際放送
 映像国際放送は、放送番組を通じた国際交流を促進し、諸外国との相互理解を深化させるものと期待されている。
 NHKにおいては、10年度中に、アジア向けの放送が開始されるなど放送区域が拡大され、アフリカの一部、ユーラシア大陸の一部を除くほぼ全世界を対象とする映像国際放送が実現される予定となっている。

(2) 放送を通じた国際交流の推進

ア アジア・太平洋放送主管庁ラウンドテーブルの開催
 放送のデジタル化と、それに伴う多チャンネル化により、多くの国において新たな放送秩序・政策が求められている。また、放送・通信のグローバル化により、国内法のみで対応することが困難な問題が生じつつある。
 このような状況を踏まえ、郵政省では、アジア・太平洋地域における放送の発展のため、望ましい放送政策の在り方について地域各国の放送主管庁と意見交換を行うラウンドテーブルを9年6月に開催した。本会合においては、映像国際放送に関する国際的なコンセンサスの形成及び各国の放送政策に関するデータベースの構築について、ワーキンググループを結成して調査研究を行うことが合意された。

イ デジタル放送普及のための国際連携
 デジタル放送は欧米において実用化の段階にあり、我が国としても、我が国の放送方式の採用を各国に働きかけていくことが必要である。
 郵政省では、欧米標準化機関等との情報交換のほか、アジア・太平洋地域においてデジタル放送方式に関する国際共同研究を行うなど、広く国際連携を図っていくこととしている。また、民間では9年9月、「デジタル放送技術国際共同研究連絡会(DiBEG:事務局ARIB)」を組織し、アジア・太平洋地域を中心とした諸外国に対し、我が国のデジタル放送技術の普及活動等を行っている。
 地上デジタル放送方式に関する標準化においては、米欧方式が「開発済みシステム」として、また我が国の放送方式は「開発中のシステム」としてITU−R( 注6)国際勧告に盛り込まれた。今後、我が国の放送方式を「開発済みシステム」へと格上げするため、技術開発を推進していくこととしている。
 一方、衛星デジタル放送については、多チャンネル放送用システムとして欧州方式のみがITU−R国際勧告として盛り込まれ、我が国も準用しているところであるが、HDTV放送用のシステムとして、我が国のBSデジタル放送方式をITU−R国際勧告に盛り込んでいくことが必要である。
 また、CSデジタル放送の受信機共用化のための規格化の実現は、世界初の成功例となることから、今後、同規格のITU( 注7)国際標準化を目指すこととする。

ウ 放送番組国際共同制作の推進
 衛星放送技術の進展、社会・経済のグローバル化に伴い、世界は本格的な映像国際放送とデジタル多チャンネル放送時代を迎えている。
 映像国際放送は、放送番組を通じた国際交流を促進し、各国間の相互理解を促進させるものと期待されている。しかしながら、アジア地域においては自国制作による放送番組の情報発信が不十分な状況にあり、その充実のための体制整備が必要となっている。
 このような状況を踏まえ、郵政省では、放送番組の国際共同制作を通じたアジア地域の番組制作レベルの向上と世界に向けた情報発信の推進を図ることとしている。10年度においては、10年1月に行われた放送番組国際共同制作推進会議の結果等を踏まえ、望ましい国際共同制作システムに関する共同研究等を行うこととしている。

エ 放送番組翻訳事業
 諸外国との相互理解の促進、開発途上国の放送の充実発展に貢献するため、日本の放送番組を開発途上国向けに翻訳する事業を、3年4月に設立された(財)放送番組国際交流センター(JAMCO)を通じて支援している。JAMCOでは、9年3月末までに586本の番組を日本語から英語等に吹き替え、35か国延べ1,237本を、開発途上国を中心に諸外国へ提供している。



 

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