平成10年版 通信白書

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第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

第5節 デジタルネットワーク社会の実現に向けて

  2. デジタルネットワーク社会の実現(真の豊かさの獲得)

 ネットワークサービスを利用するための二つの環境整備を、平行して進めることによって、「デジタルネットワーク社会」が到来しつつある。
 まもなく到来する「デジタルネットワーク社会」は、第2節で見たように、次のような特色を有すると考えられ、我々は、「多様な選択」と「自由な参加」の機会が提供され、「個性の発揮」できる真の意味の豊かさを獲得できる。

(1) 人的ネットワークの広がり(オープンな社会、自由な参加)
 地域コミュニティ、ボランティアへの関心の高まりなど、会社関係以外の人的ネットワークの広がりがみられるが、デジタルネットワークは、こうした動向を加速させ、時間・空間を克服することで、人と人とのネットワークに更なる広がりをもたせる。
 また、家族・友人との絆は、従来のコミュニケーションに加えて、デジタルネットワークを介して多様な手段により連絡を密にとることができるようになることから、一層強まる。
 我々は、従来では決して出会うことがなかったかもしれない、自分と関心を同じくする人々と、サイバー空間を通して出会い、意見を闘わせ、さらには関心事項について社会活動を共にすることが可能となる。

(2) 多様な選択肢の提供
 デジタルネットワークは、趣味・娯楽・消費等我々の多様なニーズを満たす様々な情報を賦与してくれ、余暇を豊かに過ごすための手段となる。
 従来であれば、手にすることができなかったような多様な情報をネットワークを介して入手することで、自らの個性に基づき、自らのニーズを満たす豊かな生活を送ることができる。

(3) 個性の発揮
 デジタルネットワークにより、世界は均一化され個性が損なわれていく面がある一方で、デジタルネットワークを活用し、多様な情報を受発信することにより、他人にはない個人の様々な能力を発揮する場が提供され、自分の個性を発揮できる生活を実現することができる。

(4) ユニバーサルサービスの実現
 医療・福祉、教育、行政等のパブリックサービスを、居住地域や年齢等にかかわりなく、均等に享受したいというニーズは、高齢化・過疎化等が進むにつれて、一層高まると考えられる。
 デジタルネットワークの活用によって、誰もが、地域、年齢、障害等の有無にかかわらず、医療・福祉、教育、行政サービス等のパブリックサービスを均等に受けたり、また、障害の有無、年齢に関わりなく、就業の機会を得ることが可能となる。

(5) 時間のゆとりの拡大
 仕事を効率的に行うことができ、余暇時間が生まれ、また、テレワークの普及により、遠距離通勤が解消することから時間的なゆとりが拡大する。
 ただし、デジタルネットワークは、時間・距離を克服するが故に、自らが望まない時に望まない相手とのコミュニケーションを成立させてしまうので、第2節で見たように、生活の変化として「寝る時間が減った」、「忙しくなった」と回答しているネットワーク利用者が多いが、こうした問題は、ネットワーク利用者の間で、一定のモラル(ネチケット)が醸成されつつあることから、次第に解決されてゆくと考えられる。

(6) その他
 テレワークの普及による環境(大気汚染)の改善、ネットワークを介した住民参加による行政意思決定への関与等の効果がある。



 

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