平成10年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第2章 平成9年情報通信の現況

第3節 情報通信サービスの動向

  1. 電気通信サービスの動向

(3) 移動通信サービス
ア 携帯・自動車電話サービス
 携帯・自動車電話サービスの総契約数(NTTDoCoMo等と新携帯・自動車電話事業者21社の合計)は、9年9月末現在2,608万契約(9年度末現在3,153万契約)であり、対前年同期比70.4%増と加入電話と比べて大幅に伸びている。
 9年9月末現在、総契約数をNTTDoCoMo等及び新事業者別に見ると、NTTDoCoMo等の契約数は1,441万契約(対前年同期比94.7%増)、新事業者の契約数は1,168万契約(同47.7%増)で、新事業者のシェアは前年同期より6.9ポイント減の44.8%となっており、NTTDoCoMo等のシェアを下回った(第2−3−14図参照)。
 また、総契約数をアナログ及びデジタル方式別に見ると、アナログ方式の契約数は247万契約(対前年同期比47.7%減)であるのに対して、デジタル方式は2,362万契約(対前年同期比123.0%増)と急激な増加を続けている。アナログ及びデジタル方式別の比率を見ると、デジタル方式のシェアは9年9月末現在90.5%(対前年同期比21.3ポイント増)となっており、デジタル方式の比率の増加が顕著である(第2−3−15図参照)。
 このような携帯・自動車電話サービスの著しい成長の要因としては、急速な料金の低廉化、多様化が進んだことが挙げられる。その背景として、 [1] NTTからの移動体通信部門の分離・分割による公正有効な競争環境の整備、 [2] 活発な新規参入による1地域3社又は4社体制(PHSサービスを併せると、移動体通信市場では1地域6社又は7社体制)という世界的に見て最も競争の進んだ市場の実現、 [3] 端末売り切り制の導入、 [4] デジタル方式のサービス開始や端末の小型化、軽量化等の技術革新、 [5] 移動体通信料金の事前届出化といったことが挙げられる(第2−3−16図参照)。
 トラヒックについて見ると、8年度における携帯・自動車電話サービスの総通話回数と総通話時間(NTTDoCoMo等と新携帯・自動車電話事業者21社の合計)は、それぞれ168.1億回(対前年度比92.6%増)、4億4,163万時間(同99.8%増)である。総通話回数をNTTDoCoMo等と新事業者(21社の合計)別に見ると、NTTDoCoMo等は86.4億回(同95.9%増)、新事業者は81.8億回(同89.8%増)となっており、総通話回数に占める新事業者のシェアは、48.6%(対前年度比0.8ポイント減)で、約5割を占めている。
 1加入当たりの通話回数は1日1.9回(対前年度比0.2回減)、通話時間は1日2分50秒(同10秒減)、1通話当たりの平均通話時間は1分28秒(同3秒減)と、7年度と比較して減少している。なお、これらの値は加入電話と比較していずれも低い値であり、携帯・自動車電話は簡潔な通話に利用されていることがうかがえる。
 加入電話等への発信を距離区分別に見ると、通話回数の約96%が営業区域内及び営業区域隣接県への通話となっており、その他の通話は少ない。
 携帯・自動車電話と加入電話との相互通話の状況を見ると、携帯・自動車電話から加入電話等へ発信した通話回数は72.5億回、加入電話から携帯・自動車電話へ着信した通話回数は58.3億回となっており、携帯・自動車電話が発信に、より利用されていることが分かる。また、携帯・自動車電話相互間の通信は37.3億回で、携帯・自動車電話の総通話回数168.1億回の22.2%(対前年度比7.5ポイント増)を占めている(第2−3−17表参照)。
第2-3-14図 携帯・自動車電話契約数及び伸び率(対前年比同期)の推移
携帯・表自動車電話契約数及び伸び率(対前年比同期)の推移の表
第2-3-15図 携帯・自動車電話 アナログ・デジタル方式別契約数の推移
携帯・自動車電話 アナログ・デジタル方式別契約数の推移の表
第2-3-16図 第一種電気通信事業者の携帯・自動車電話サービスの提供地域
第2-3-17表 加入電話、携帯・自動車電話及びPHSの相互通話状況


イ PHSサービス
 7年7月の首都圏及び札幌市(北海道)でのサービス開始以来、エヌ・ティ・ティパーソナル通信網グループ9社、ディーディーアイポケット電話グループ9社及びアステルグループ10社が順次サービスを開始し、1地域3社体制の競争市場となっている。
 PHSサービスの総契約数は、9年9月末現在707万契約(9年度末現在673万契約)であり、対前年同期比78.4%増と、爆発的に増加しているが、この半年間は4.8%減と伸び悩んでいる(第2−3−18図参照)。
 8年度におけるPHSサービスの総通話回数と総通話時間(エヌ・ティ・ティパーソナル通信網グループ9社、ディーディーアイポケット電話グループ9社及びアステルグループ10社の合計)は、それぞれ25.2億回(対前年度比1,023.4%増)、8,651万時間(同1,154.3%増)である。1加入当たりの通話回数は、1日1.4回(同0.5回増)、通話時間は1日2分12秒(同51秒増)、1通話当たりの平均通話時間は1分36秒(同2秒増)であり、いずれも増加している。
 距離区分別に見ると通話回数の約80%が区域内(加入電話における市内通話料金(昼間3分10円)で通話できる単位料金区域と同等)及び隣接区域への通話となっている(第2−3−19図参照)。
 PHSと加入電話との相互通話の状況を見ると、PHSから加入電話へ発信した通話回数は16.6億回、加入電話等からPHSへ着信した通話回数は6.3億回となっており、PHSが発信中心に利用されていることが分かる。また、PHS電話相互間の通信は2.3億回で、PHSの総通話回数25.2億回の9.1%(同4.6ポイント増)となっており、携帯・自動車電話と同様に相互間通話を増やしている(第2−3−17表参照)。
第2-3-18図 PHS契約数の推移
PHS契約数の推移の表
第2-3-19図 PHSサービス 距離区分別通話回数・通話時間

ウ 無線呼出しサービス
 無線呼出しサービスの総契約数(NTTDoCoMo等と新無線呼出し事業者31社の合計)は、9年9月末現在898万契約(9年度末現在712万契約)であり、対前年同期比15.5%減となり、大幅に減少している。これは、携帯・自動車電話サービス及びPHSサービスの急速な普及が一因と考えられる。
 総契約数をNTTDoCoMo等及び新事業者別に見ると、9年9月末現在、NTTDoCoMo等の契約数は505万契約(対前年同期比20.7%減)、新事業者の契約数は393万契約(同7.7%減)である。総契約数における新事業者のシェアは43.8%である(第2−3−20図参照)。
第2-3-20図 無線呼出し契約数及び新事業者のシェアの推移
無線呼出し契約数及び新事業者のシェアの推移の表

エ LEOサービス
 低軌道の周回衛星等を用いた移動衛星通信電話が、日本イリジウム(株)により10年9月からサービス開始予定である。

 

(2) 電話サービス に戻る (4) 専用サービス に進む