平成10年版 通信白書

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第2章 平成9年情報通信の現況

第7節 情報通信と社会経済構造の変革

  2. 地域の情報化

(3) 都道府県の情報化の取組

ア 岐阜県の地域情報化
 岐阜県は、従来、繊維産業に代表される第二次産業が基幹産業であったが、情報通信産業を次世代産業の目玉に据えて、集積を図ってきた。大垣市の「ソフトピアジャパン」や「情報工房」等は情報ネットワークの拠点として機能している。
 岐阜県の2年度から6年度の第二次産業の構成比率の推移を見てみると、全国よりも二次産業の構成比率は高いものの、構成比の対前年度減少率では全国平均を上回り、一貫して減少傾向にある(第2−7−53図参照)。また、第三次産業の構成比率は全国より低いものの、構成比の対前年度増加率は全国平均を上回っており、三次産業への転換が急速に図られていることが分かる(第2−7−54図参照)。
 また、岐阜県の産業別生産額の構成比の推移を見ると、製造業が減少しており、逆に運輸・通信業やサービス業といった三次産業が増加していることが分かる(第2−7−55図参照)。
 岐阜県では情報社会で地方が生き延びるためには、情報価値の創出力を高め、「情報都市」となることが必要であると考え、その実現のために、情報環境の整備、インフラ整備、住民・企業・行政の創造力向上等の様々な取組を早期に実施してきた結果が現れているものと考えられる。

第2-7-53図 第二次産業構成比及び構成比の対前年度減少増加率
第2-7-54図 第三次産業構成比及び構成比の対前年度減少増加率
第2-7-55図 岐阜県の産業別生産額の年度別構成

(ア) 県民情報ネットワーク
 県民情報ネットワークは、インターネットを活用して県民に幅広い行政情報を発信するとともに、県と県民間、県民相互のコミュニケーションを促進し、また、県民の情報リテラシーの向上促進を目的としている。事業内容は、情報提供サービス、情報交流サービス、情報基盤の整備の三つで構成されている。情報提供サービスは、県における報道発表資料や報告書等を可能な限り提供しており、情報交流サービスは、県民相互又は県民と行政とが意見交換できる「電子会議室」の開設を目指している。また、情報基盤の整備では、県民の情報リテラシーの向上を目指し、病院、福祉施設、図書館等の主な公共施設(42か所)や県内小中学校(606校)に端末を設置している。
(イ) ソフトピアジャパン、情報工房
(ソフトピアジャパン)
 岐阜県では、マルチメディア関連産業の育成や地域産業の高度化、また、県民生活にかかわりの深い医療、福祉、教育等の民生分野の情報化を目指すため、国際的なソフトウェアの研究開発の中核拠点となる「ソフトピアジャパン」を大垣市に創設した。ソフトピアジャパンは産学官が一体となり、いわゆる岐阜県版シリコンバレーを構築し、21世紀を拓く高度情報通信社会の形成を目指している。なお、ソフトピアジャパンの中核施設であるソフトピアジャパンセンターは、国際的なソフトウェアの研究開発拠点となっている。
(大垣市情報工房/ソフトピアジャパン・アネックス)
 10年2月にソフトピアジャパンセンターに隣接し、センター機能を補完・拡充する「ソフトピアジャパン・アネックス」と大垣市の地域情報化の受発信拠点としての「大垣市情報工房」が完成した。ソフトピアジャパン・アネックスはベンチャー企業等の育成・支援の充実を図るとともに、産業分野のみならず、民生分野、行政分野の情報化を進めるため、研究開発を行う拠点としての機能を担っている。

イ 高知県の地域情報化
 高知県は全国に比べ過疎化・高齢化が急速に進展し、基幹産業の不振等の、様々な問題を抱えている。それらの問題を解決するために、地域情報化に積極的に取り組んでいる。高知県では、産業界、学術研究機関、行政が連携して10のモデル実験からなる「KOCHI 2001 PLAN」を積極的に推進している。主な施策は次のとおりである(第2−7−56図参照)。

第2-7-56図 高知県情報スーパーハイウェイ
(ア) 高知県情報スーパーハイウェイ
 県内どこでも格差なく公共情報や公共サービスが受けられる通信環境の実現を目指し、多様な公共的情報システムと民間の先進的な情報化プロジェクトを実現する前提となる通信基盤の整備を行う。
(イ) 幡多地域保健・医療・福祉モデルシステム
 幡多地域の各市町村を広域でネットワークする保健・医療・福祉モデルシステムを構築するとともに、11年に開院する幡多総合病院を中核として同地域に医療情報ネットワークを構築する。また、大月町をモデルに選定し、過疎地域等における保健・医療・福祉の情報通信システムの研究開発を実施している。
(ウ) DREAM NET
 情報リテラシーの向上には小中学校等の教育分野における取組が重要である。そこで、今後の指導者となる教員約200人の自宅をインターネットで結び、学校の情報化に関する研修を行っている。また、熱意と計画のある小中学校、高等学校に対してパソコンやLANの導入を促進する。
(エ) 行政情報窓口サービスネットワーク
 県庁内の起案文書等の電子登録及び文書検索データベースシステムの開発、電子メール等を活用して事務の効率化・高度化を推進する。また、「ワンストップ行政サービス」や「ノンストップ行政サービス」等を目指し、行政窓口サービスの情報化に関する検討を市町村とともに行う。

ウ 北海道の東アジア・メディアプロモーション事業
 北海道では東アジア地域との交流を積極的に進めることとしており、その一環として9年4月から、東アジア・オセアニア地域を対象に、北海道の観光や産業等を幅広く紹介する番組を、JET−TV(Japan Entertainment TV)のネットワークを使用し配信している。紹介番組は北海道の民間放送会社が制作し、週6回、30分番組と1時間番組を延べ6時間(再放送含む。)、衛星を経由して各国のケーブルテレビ等に配信されている。放送は「日本語」、「中国語」、「英語」及び「タイ語」の4か国語でなされ、9年11月現在、タイ、フィリピン、台湾及びニュー・ジーランドの約437万世帯で受信されている。
 

(2) 都道府県の地域情報化 ウ 情報化政策、エ 都道府県の情報化指標 に戻る 第2章第8節1. 電気通信の動向 に進む