昭和53年版 通信白書

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第3節 有線放送

1 有線テレビジョン放送

 有線テレビジョン放送の受信契約者数は,許可施設,業務開始届出施設及び小規模施設(引込端子数50以下でテレビジョン放送の同時再送信のみを行うもの,業務開始の届出を要しないが,有線電気通信法3条の届出を要する。)を合計すると52年度末で約195万である。
 52年度末現在の有線テレビジョン放送施設(許可施設,業務開始届出施設)の都道府県別施設数は,第2-5-21表のとおりである。兵庫県,東京都,大阪府,京都府,愛知県,神奈川県等が比較的多くなっているが,これらの地域では主として高層建築物等による受信障害の解消を図るための施設設置の需要が多いことによるが,兵庫県,京都府等では地形による難視聴の解消に対する需要が多いことにもよると考えられる。

(1) 許可施設

 52年度末現在の許可施設の数は195施設であって,前年度末に比べ14施設(7.7%)の増となっている。
 その運営主体,施設の規模及び業務の状況は,次のとおりである。
ア.運営主体及び規模
 運営主体別及び規模別に見た施設数は,第2-5-22表のとおりである。
 運営主体別では,任意団体によるものが114施設であって許可施設総数の58.5%を占め,以下,営利法人,地方公共団体,公益法人,農協等協同組合の順となっている。
 施設の規模別では,大都市における高層建築物等に起因するテレビジョン放送難視聴の解消のためのいわゆる補償施設や営利法人により区域外再送信を主目的として運営される施設の中に大規模なものがあり,最大のものは引込端子数2万8,093となっている。
イ.業  務
 業務別に見た許可施設数は,第2-5-23表のとおりである。その大部分はテレビジョン放送の同時再送信のみを行うものであり,自主放送を行うものは,徐々に増加しつつあるとはいえ,まだ少数である。
 同時再送信を行うものの目的は,第2-5-24表のとおりで,テレビジョン放送難視聴の解消を目的としているものが多い。
 なお,営利法人による大規模施設は,主として番組の多様化を目的としているものである。
ウ.自主放送
 有線テレビジョン放送施設者のうち自主放送を行うものは,52年度末現在において28施設となっているが,このうち25施設は,自主放送を同時再送信と併せ行っているものである。また,有線テレビジョン放送施設者から施設の提供を受けて(いわゆるチャンネル・リース)自主放送を行っている有線テレビジョン放送事業者は5事業者である。
 自主放送番組の内容は,地元公共団体や農業協同組合からのお知らせ,地域のニュース等が一般的である。
エ.料  金
 料金は,運営主体,設置目的,施設の規模によって異なる傾向を示しており,営利事業として番組の多様化のために区域外再送信を行う施設に比較的高額のものが見られるのに対し,任意団体の施設又は都市におけるいわゆる補償施設では,契約料(加入金),利用料とも比較的低額のものないし無料のものが一般的である。
 許可施設のうち料金を徴収するものについて見ると,契約料は,1万円以上3万円までのものが最も多く,次いで1万円以下のもの,3万円以上4万円までのものの順となっており,利用料は,200円から500円までのものが最も多く,次いで200円以下のもの,500円以上のものの順となっている。
 また,これらの施設のうち,営利を目的とした施設では,契約料は2万円から3万円までのもの,利用料は300円から500円までのものが最も多くなっている。
 なお,契約料の最も高額なものは5万円であるが,契約料を徴収する施設の81.5%は3万円以下となっている。利用料は高額な施設では月額1,000円以上を徴収するものもあるが,利用料を徴収する施設の83.4%が500円以下となっている。

(2) 届出施設

 52年度末現在の業務開始届出に係る有線テレビジョン放送施設数(許可施設置を除く。)は,11,231施設であって,前年度に比べ1,245施設(12.5%)の増となっているが,特に都市の高層化や宅地開発の進んでいる東京,横浜,名古屋,大阪及びその周辺の地域,山陽新幹線が建設された地域等における増加の傾向が著しい。
 届出施設における有線テレビジョン放送の運営主体は,そのほとんどが受信者によって構成された任意団体であるが,それらの任意団体の半数以上は,NHKと地元住民団体が共同で施設を設置運営しているものである。
 届出施設の行っている業務は,テレビジョン放送難視聴の解消を目的とする同時再送信が圧倒的多数を占めているが,自主放送を行っているものも21施設ある。
 料金については,契約料2万円以下のものが多く,また,利用料は月額200円以下のものが多い。
 なお,都市において高層建築物等に起因する受信障害を解消するため,ビルの建築主等原因者によって設置されたいわゆる補償施設を任意団体が管理運営しているものにあっては,契約料は無料,利用料は無料又は月額200円以下としているものが多い。

第2-5-21表 都道府県別有線テレビジョン放送施設数(52年度末現在)

第2-5-22表 運営主体別・規模別許可有線テレビジョン放送施設数(52年度末現在)

第2-5-23表 業務別許可有線テレビジョン放送施設数(52年度末現在)

第2-5-24表 同時再送信業務の目的別施設数(52年度末現在)

 

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