昭和53年版 通信白書

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5 通信用電源技術

 電気通信サービスの多様化・高度化に伴う通信機器の発展は,高精度,高信頼度で大容量の通信用電源の開発を促すとともに,高密度で小形軽量化を図った電源機器を要求する傾向にある。
 直流供給方式については,現行の蓄電池浮動方式(-21V,-48V等を供給)に加えて,更に高精度を要求する負荷に対して,パワートランジスタ等を使用した高効率,小形,低騒音のDC-DCコンバータを使用したブースタ・コンバータ方式のほか,高圧直流供給方式の実用化も進められている。交流供給方式(AC200V等を供給)については,無停電,定周波,定電圧等の多様な電源条件に対し,従来のスリーエンジン,クレーマ電源等回転形機器に代えて,サイリスタ等を採用した整流装置とDC-ACインバータの組み合わせによる各種静止形交流電源の実用化が進められている。
 また,商用電源の停電に備えて,各種の予備電源が設置されているが,このための長時間エネルギー源としては,従来のディーゼルエンジンのほか,10,000kVA等の大容量負荷用としてガスタービンエンジン等が開発されている。更に,短時間エネルギー源としては,鉛蓄電池が広く使用されているが,これについて触媒によって電解ガスを水に還元することにより,補水周期の延長を図った全密閉形鉛蓄電池の開発が進められている。
 更に,省エネルギー,省資源あるいは環境保全を図ることができ,商用電源を得るのが困難な地域の通信用電源として利用できる新エネルギー変換方式が脚光を浴びつつある。すなわち,太陽エネルギーを利用する太陽電池式電源装置の実用化,風力エネルギーを利用する風力発電式電源装置や化学エネルギーを利用した高効率の燃料電池等の開発が進められ,2次電池等と組み合わせて一定電力を供給できる独立した電源システムとして実現されようとしている。

 

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