昭和53年版 通信白書

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2 万国郵便連合(UPU)

(1) 概   要

 万国郵便連合(加盟国158)は,創設以来百年有余の歴史を有する国際連合の専門機関の一つで,郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を増進し,かつ,文化,社会及び経済の分野における国際協力の発展に寄与することを目的とする政府間国際機関である。
 我が国は,1877年(明治10年)以来100年の歴史を有する加盟国であって,現在,連合の常設機関である執行理事会及び郵便研究諮問理事会の理事国として連合の活動において指導的な役割を果たしてきている。
 連合の最高意思決定機関としては,原則として5年に1回開催される大会議があり,連合の条約類は,この大会議で検討,改正される。最近の大会議は,1974年にスイスのロ-ザンヌで開催され,改正条約は,1976年(昭和51年)1月1日から効力を生じている。我が国は,加入が義務的である万国郵便連合憲章,万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約,並びに,加入が任意である価格表記書状に関する約定及び小包郵便物に関する約定等諸条約の当事国である。
 なお,我が国は,スイスのベルヌにある国際事務局に職員2名を出向させている。

(2) 執行理事会(CE)

 執行理事会は,大会議から大会議までの間の連合の事業の継続を確保することを任務とし,連合の年次予算等の審査,承認を行うほか,大会議から付託された案件を研究し,その結果を条約類の改正案等の形で次の大会議に提出する。理事国は,大会議ごとに選出され,年1回連合の所在地で会合する。
 1977年の年次会合は,5月2日から18日まで開催され,大会議から付託された約60件の研究課題について,次期大会議(1979年にブラジルで開催予定)への報告案を作成するため,過去2年間の研究結果に基づき一応の結論を得たほか,1977年及び1978年の連合の予算を審査,承認した。我が国は,財政委員会の議長国としてこの委員会を主宰した。

(3) 郵便研究諮問理事会(CCEP)

 郵便研究諮問理事会は郵便に関する技術上,業務上,経済上及び技術協力上の問題につき研究を行い,意見を表明することを任務とする常設機関であり,理事国は,大会議ごとに選出され,また,その活動期間は次期大会議開催の年までの5年間とされている。
 1974年のロ-ザンヌ大会議の決議に基づく付託等により,1974年から本理事会が取り扱うこととなった研究課題は約60件あり,これらはいずれも1979年の次期大会議前に報告書にまとめられることとなっている。
 上記の研究課題のうち,我が国は25の課題について作業部会に参加し,そのうちの3件については研究を主宰し,かつ,そのとりまとめ,報告の任にあたる主査国となっている。
 なお,本理事会の1977年の年次会合は1977年11月14日から18日までスイスのベルヌで開催された。

(4) アジア=オセアニア郵便連合(AOPU)

 アジア=オセアニア郵便連合は,アジア及びオセアニアの地域内における郵便業務の改善及び郵便上の協力関係の緊密化を図るためにUPU憲章に基づいて設立された限定郵便連合であり,現在,域内のUPU加盟国中14か国が加盟している。
 我が国は,1968年(昭和43年)に加盟し,以来,特に技術協力の面で積極的に貢献しており,郵便業務の面では,本連合加盟国あて船便の書状及び葉書の料金につき一般外国あての料金を40%引き下げている。
 この連合の最高機関は大会議であるが,第3回大会議は,1975年11月にオーストラリアのメルボルンで開催された。この際に締結された条約は,1977年5月1日から施行されている。
 また,この連合の事業の継続を確保することを任務とする執行理事会は,すべての加盟国で構成され,原則として1年に1回会合することとされている。1977年の年次会合は,10月31日から11月3日までニュー・ジーランドのロトルアで開催され,大会議から付託された研究課題を検討し,1978年の連合の予算を審査,承認した。

 

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