生産年齢人口1の減少は、我が国の潜在成長率を押し下げ、持続的経済成長に大きな影響を与えることが懸念されている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢化の進展により、我が国の生産年齢人口は1990年代をピークに減少の一途を辿っており、2030年には2010年比で約1,300万人が減少し、2050年には2010年比で約3,100万人が減少する見通しである(図表2-3-1-4)。
高齢化の進展により、一般会計の3割超を占める社会保障給付費は増加している(図表2-3-1-5)。国民医療費は2008年度の34.8兆円から、2025年には52.3兆円、老人医療費も11.4兆円から、24.1兆円にまで増加する見通しである(図表2-3-1-6)。
社会保障費の増加のみならず、介護負担の増加も懸念される。厚生労働省が平成22年に行った調査によれば、主な介護者の構成割合は、同居の配偶者や子供等といった家族介護が中心となっているが(図表2-3-1-7)、今後、核家族化の進展に伴い、平均世帯人員数は減少の一途を辿り、2035年に2.20人になる一方、高齢者単独+夫婦のみ世帯割合(世帯主65歳以上)は上昇し、2035年には68.6%になるとの予測がある2。このため、家族介護以外の受け皿の整備等、社会全体で高齢者の生活を支えていくような社会システムの整備を早急に進めるとともに、要介護者等の支援者を支援する仕組についても構築する必要があるものと考えられる。
1 15歳以上65歳未満の人口を指す。
2 国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(平成25年1月推計)