昭和55年版 通信白書

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第3節 諸外国における通信政策及び事業運営を巡る動向

1 米国通信法改正の動向

 米国においては,目覚ましい技術革新による通信利用の多様化等に伴い,1934年に制定された通信法は,次第に,実情にそぐわないものとなってきた。こうした中で,1978年6月に,1934年通信法の全面改正を内容とする画期的な通信法案が下院通信小委員会へ提出された。この改正法案は審議未了で廃案となったが,1979年3月には,1978年法案の内容及び審議過程での各界の意見等を踏まえ,上院に2件,下院に1件の通信法改正案が提出された。上院の2法案は1934年通信法の一部修正,下院の法案は全面修正と形式は異なるが,3法案は,いずれも競争を促進しつつ必要最小限の規制を行うことによって,公衆の利便の推持・向上を図ることを基本的目的としたものであった。
 両院における法案審議は,公聴会の後一時停滞したが,1979年9月には両院の通信小委員会における法律制定の努力を支持する大統領教書が議会に送られ,続いて11月には,米国電気通信情報庁(NTIA)により作成された法律制定勧告が議会に提出されたことから再び活発化してきた。この法律制定勧告は,大統領の示したガイドラインに沿ったもので,下院の改正法案を基調としつつ立法経緯及び現体制に対する十分な配慮を加えたものとなっている。
 その後,全面改正法案の提案者であるヴァン・デアリン下院通信小委員会委員長は,公衆通信事業者に関する部分に的を絞った新しい改正法案を作成し,1979年12月,下院に提出した。この改正法案は,1980年6月,下院通信小委員会を通過し,本委員会へ上程されたが,その後支配的通信事業者(現在はAT&T)とその子会社との分離条件について論議が起きており,今後の動向が注目されている。
 一方,上院通信小委員会においても2法案を基に審議が進められ,1980年6月,ホリングス同小委員会委員長らによって,公衆通信事業者関係のほか,放送関係の改正案も含んだ通信法改正法案が上院へ提出されるに至っている。

 

 

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