昭和55年版 通信白書

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1 情報通信メディアの普及・高度化の努力

(1) 基幹メディアの普及
 社会経済活動の拡大,高密度化に伴い,大量の情報を迅速,正確,効率的にかつ低コストで伝達することが国の発展を維持するためにはひっすの条件となってきたことから,諸外国とりわけ先進各国においては電気通信メディアの速やかな整備・拡充が進められている。
 第1-2-45表は,世界の電気通信関係分野における設備投資額の推移であるが,電気通信分野における設備投資は堅調な伸びを示している。
 一方,欧米主要国における電話,テレビ,テレックスといった基幹メディアの普及状況については,第1-2-46図にみるとおり,既に高度な成長を遂げた米国に対し,ヨーロッパ各国も一応の水準に達しているが,いまだその格差は大きい。
 取り分けフランスの電気通信は主要先進国の中で最も遅れていたために,電気通信の質的量的拡充を国家的最優先事項とし,第6次国家計画(1971年〜1975年),第7次国家計画(1976年〜1980年)を通じ,電話の普及が図られるとともに電子交換機の導入等が積極的に推進されてきた。この間,投資額も100億フランから210億フランに急増した。
(2) 新しい通信メディアの普及
 既存の情報通信メディアを高度に普及させ,巨大な情報通信の市場と産業を成長させた米国においては,メディアの多様化,高度化も急速に進展している。これは米国社会の著しい情報化により,新しい情報ニーズが生まれてきたこと,これらの潜在市場を巡り,激しい競争が展開されていることなどを背景としている。
 一方,ヨーロッパ各国の新メディアの開発導入は第1-2-47図にみるとおり,各分野とも米国に比較し著しく立ち遅れている。しかし,この情報通信産業は国家産業の中でも今後ますます重要な地位を占めてくるものとの認識では共通しており,このため新しい技術,新しいメディアの開発を強力に進めつつある。
 第1-2-48図は英国郵電公社(BPO)の電気通信関係の研究開発費の推移を示したものであるが,1973年度から1977年度までの5年間に2.5倍の伸びを示し,このうち新システムの研究開発関係では3.5倍もの伸びとなった。この間における電気通信事業の支出が2.1倍,収入が2.4倍であったことからみてもBPOの新しい技術,新しいメディア開発の努力がうかがわれる。英国では更に,1978年12月に総理大臣が今後の政策としてマイクロプロセッサ応用研究プロジェクト等に対し,5,500万ポンドを充当するとともに,向う3年間において1億ポンドの規模の費用をかけて新技術をフルに利用することなどを明らかにしている。
 一方,フランスも1978年12月に5か年計画においてデータ通信機器の製造,アプリケーションの開発等のために22億5,000万フランの支出を決定した。

第1-2-45表 電気通信関係設備投資額

第1-2-46図 欧米主要国における基幹メディア機器の普及状況

第1-2-47図 欧米主要国における新しい通信メディアの普及状況

第1-2-48図 英国郵電公社の電気通信関係研究開発費の推移

 

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