昭和55年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

6 電波予報・警報

 電波予報とは,一般に電波の伝搬状態を予測することをいい,現在電波研究所の業務としては,特定の2地点間の通信に使用し得る周波数帯を予報月に3か月先立って予測する月間電波予報を発表している。電波予報の一種ではあるが,特に電離層のじょう乱に起因する電波の伝わり方の乱れを予測し,無線通信関係者に通報する業務を電波警報と呼んでいる。
 電波予報・警報は,共に短波通信回線の設計並びに運用にとって不可欠である。そこで電波研究所では,太陽地球間に生起する諸現象を常時観測し(太陽電波,地磁気,地電流等),また,国内5電波観測所(稚内,秋田,国分寺,山川,沖縄)及び南極昭和基地において垂直打上げ電離層観測を絶え間なく行って,電波予報,警報の的中率の向上を図っている。
 最近,電波予報をよりきめ細かく行う,短期予報が要請され,これに対応するため平磯支所に新しい型の斜入射電離層観測装置(チャープサウンダ)を設置し,西独及び英国と実験を行っている。
 さらに人工衛星を用いた観測にも力を入れ,電離層観測衛星(ISS-b「うめ2号」)によって得た電離層の臨界周波数(foF2)のデータを解析して,foF2の世界分布図を発表した。現在までに秋と冬を代表する世界分布図が印刷されているが,これらは電波予報に役立っており,国の内外から高く評価されている。
 地球を取り囲む電離圏は,短波に対してだけ影響を与えるものでなく,VHFテレビジョンやVHF―UHF帯衛星通信電波にも影響を与える。そこで新しい研究項目として,スポラディックE層によるVHF電波の遠距離異常伝搬の研究及び衛星電波のシンチレーション(ゆらぎ)や偏波面の回転,電波の遅れ等の研究を取り上げ,着々と成果を得ている。

 

 

5 通信用土木技術 に戻る 7 周波数,時刻及び時間間隔の標準 に進む