昭和55年版 通信白書

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14 サイトダイバシティ

 衛星通信では,通信需要の増大に対処するため,6/4GHz帯のほかに,10GHz以上の周波数帯も用いられるようになってきた。インテルサット系においても,V号系以降の衛星ではスポットビーム用として,14/11GHz帯が使用されることになっている。
 10GHz以上の周波数では,降雨によって電波が減衰を受けるが,特に,アンテナの仰角が低くなる場合にはその傾向が顕著である。降雨減衰の影響を軽減する有効な方法の一つとして,サイトダイバシティがある。電電公社では,世界に先駆けて準ミリ波帯を用いる衛星通信方式を提案するとともに,サイトダイバシティについては20GHz帯の研究を進めてきた。また,国際電電では,早くからサイトダイバシティ方式の研究を進めてきたが,既に,インテルサットからの委託を受けて,TDMA(Time Division Multiple Access)方式を対象としたダイバシティ装置を試作し,インテルサットへ納入したほか,西日本各地を中心に電波伝搬特性の測定を行ってきた。また,インテルサットV号系以降のインド洋衛星を対象に14/11GHz帯による低仰角運用に対処するためのダイバシティシステムの総合的な研究を開始した。
(1) 14/11GHz帯サイトダイバシティ実験
 インド洋V号衛星を対象に,低仰角運用におけるサイトダイバシティの各種伝搬資料の取得及び通信実験を行うため,山口衛星通信所及び浜田国際中継所にダイバシティ実験システムを設置することとし,その基礎検討を行った。
(2) サイトダイバシティ効果
 電電公社ではCS及びラジオメータを用いて横須賀,横浜及び川崎において20GHz帯の降雨減衰を測定している。この降雨減衰の同時測定データを解析して,地球局間距離とダイバシティ効果の関係について検討を行っている。また,同地域の降雨強度データを用いて,サイトダイバシティ効果の測定を行っている。
 国際電電では,瀬戸内海沿岸3か所での12GHzラジオメータによる降雨減衰同時観測や,山口,茨城及び沖縄での降雨観測等によって得られたサイトダイバシティ効果に関するデータの解析を進めた。これは一部インテルサットからの受託研究によるものである。また,中・長距離でのダイバシティ効果について調査するため,約100km離れた山口・浜田両地点での12GHzラジオメータによる降雨減衰同時測定も開始した。

 

 

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