昭和55年版 通信白書

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8 事業経営状況

(1) N H K
ア.事業収支状況
 54年度の収支決算は第2-5-14表のとおりである。これによると,54年度の経常事業収入は,2,191億円であり,前年度に比べ50億円の増加となっている。このうち,その大部分を占める受信料収入は,2,134億円で前年度に比べ49億円増であり,普通受信料収入は119億円,カラー受信料収入は2,015億円となっている。
 一方,経常事業支出は2,297億円であり,前年度に比べ198億円の増加となっている。この結果,経常事業収支においては,106億円の支出超過となった(第2-5-15表参照)。
イ.資産,負債及び資本の状況
 54年度末における貸借対照表の概要は第2-5-16表のとおりであり,の資産総額は1,884億円で,前年度末に比べ2億円の減少となっている。このうち,固定資産は1,440億円であり,前年度末に比べ46億円の増加となっている。このほか,流動資産は409億円で,前年度末に比べ63億円の減少,特定資産及び繰延勘定は35億円で,前年度末に比べ16億円の増加となっている。
 負債総額は838億円,資産総額に対し44.5%で,前年度末に比べ111億円の増加となっている。このうち,放送債券は213億円,長期借入金は226億円である。
 また,資本総額は1,046億円であり,前年度末に比べ113億円の減少となっている。これは当期事業収支差金が113億円の赤字となったためである。
(2) 民間放送
 民間放送の収入は,主として企業の広告費に依存しているが,54年の広告業界は,相次ぐ原油価格の上昇と円安基調から,インフレ再燃の不安が顕在化したにもかかわらず,各企業が多年にわたる減量経営の努力によって,新たな経済環境への適応体制を整えたこと,また,国内市場重視の気運がますます盛り上がりを見せたことなどにより,景気回復と歩調を合わせ,予想以上に堅調に推移したということができる。
 広告費の国民総生産に占める割合は,45年以来年々減少傾向を示し,51年以来若干ながら上昇傾向にあるものの,なお,1%に満たない状況である。
 しかし,54年の広告費は,総額で推計2兆1,133億円と初めて2兆円の大台に乗せたことは注目される。
 広告費のうちラジオ・テレビの電波媒体に投入される金額の総広告費に占める割合はわずかづつ上昇を続け,54年は広告媒体としての再評価が定着してきた新聞の広告費が高い伸びを示したものの,若干増加し40.5%(8,569億円)となった。しかし,テレビの占める広告費は35.5%(7,508億円)であり,新聞の占める広告費31.0%(6,554億円)を大きく上回った。また,ラジオの占める広告費は,1,061億円と初めて1千億円台に乗り,総広告費に占める比率も,38年以来久々に5%台(5.02%)にまで回復した。
 国民総生産とラジオ収入及びテレビ収入との関係は,第2-5-17図及び第2-5-18表のとおりである。
 54年度の民放全社の収支状況は,第2-5-19表のとおりであるが,総体的に営業収入が活発な広告需要に支えられて堅調な伸び(13.3%)を示したのに比して,営業費用の伸び(12.9%)が比較的小さかったことにより,純利益は18.1%伸びた。
 民放110社中,3社が欠損を計上したが,前年度の4社に比べて,減少した。
 また,110社中,54年度配当を行った会社は90社であり,このうち新たに配当を始めた会社はUHFテレビジョン放送単営社1社である。
 なお,54年度の配当状況は,第2-5-20表のとおりである。

第2-5-14表 NHKの損益計算書

第2-5-15表 NHKの経常事業収支(決算額)の推移

第2-5-16表 NHKの貸借対照表

第2-5-17図 国民総生産と民間放送事業者のラジオ・テレビ収入の推移

第2-5-18表 国民総生産と民間放送事業者のラジオ・テレビ収入の推移(1)

第2-5-18表 国民総生産と民間放送事業者のラジオ・テレビ収入の推移(2)

第2-5-19表 民間放送事業者の収支状況

第2-5-20表 民間放送事業者の配当状況

 

 

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