昭和55年版 通信白書

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8 マイクロ波リモートセンシング

 1972年に打ち上げられたERTS(LANDSAT)の捕らえた地球の鮮明で精密な写真から,人工衛星による地球の資源や環境の探査は予想以上に有効であり,その利用範囲の広さや応用の可能性の非常に大きいことが明らかになった。以後,LANDSATシリーズのデータが各国で実用化の軌道に乗りつつあり,また我が国の海域及び陸域観測衛星シリーズをはじめカナダ,ヨーロッパ等で次々と独自のリモートセンシングを目的とした衛星が計画されている。
 電波によるリモートセンシングは,従来主に用いられてきた可視・赤外領域の光を利用するものと異なり,昼夜の別なく,また天候に左右されることもなく観測が可能であり,常に同一の観測条件で精度よくデータを取得できる。電波,特にマイクロ波によるリモートセンシングは今後電波の利用の主要な分野の一つとなると予測される。したがって,電波の有効利用の観点から電波研究所において54年7月から衛星計測部を新設し各種のマイクロ波リモートセンシングに関する研究を行っている。
 散乱計:雨域及びその降雨強度の観測を主目的とする航空機とう載用2周波(10,34.5GHz)散乱計/放射計を53,54年度において製作した。これを用いて将来衛星とう載を目的とした実験,検討を行う。また,海面散乱の実験もNASDAと共同研究で行う予定である。
 放射計:大気中の水蒸気の検出及びそれによる電波伝搬への影響の補正を目的として2周波(20.0〜23.8,30.6〜32.1GHz:MOS-1用2周波放射計の周波数を含む。)放射計を54年度に整備し観測に着手する。
 合成開口レーダ:合成開口レーダは,飛しょう体の速度を利用して小さなアンテナで光学系センサに匹敵する高分解能の2次元影像を得るマイクロ波センサで,将来のリモートセンシングの主要機器として期待されている。これについての調査研究を開始した。

 

 

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