昭和52年版 通信白書

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第3節 国際公衆電気通信の現状

1 国際通信回線の現状

 国際電電は,28年に設立されて以来,国際電気通信需要の増大・多様化に対処して国際電気通信施設の拡充,強化を推進して来た結果,国際通信回線は逐年増加し,51年度末において国際電電が運用している対外直通回線は総計2,687回線に達している(附属資料第17表参照)。
 これを回線種類別,対地別にみると,それぞれ第2-2-15表及び附属資料第18表に示すとおりであり,衛星回線及び海底ケーブルを経由する回線が大部分を占めている。
(1) 海底ケーブル
 国際電電が運用している国際海底ケーブルは,第一太平洋横断ケーブル(TPC),第二太平洋横断ケーブル(第2TPC),日本海ケーブル,日本・中国間ケーブルの4ケーブルである。このうち,日本・中国間ケーブルは51年10月に開通したもので,国際電電と上海市郵電管理局との共同出資により敷設したものである。
 この他,国際電電は,50年9月,沖縄・ルソン・香港間ケーブル(OLUHOケーブル)を建設するための基本的な協定を外国通信事業者(フィリピンのETPI及び英国のC&W)との間に締結し建設を進めていたが,52年8月運用開始の運びとなった。
 これらを含めた我が国の国際海底ケーブルの概要は第2-2-16表のとおりである。
(2) 通信衛星
 インテルサットの世界通信システムは,51年度末現在,<4>号系衛星(電話換算4,000回線及びテレビ2回線の容量をもつ。)が太平洋,大西洋,及びインド洋上に計7個,更に,<4>-A号系衛星(電話換算6,000回線及びテレビ2回線の容量をもつ。)が大西洋上に2個設定,運用(又は予備配置)され,世界の通信のかなめとなっている。
 また,インテルサット衛星を利用する各国の衛星通信所(地球局)の増加も著しく,51年度末でその数は82か国(地域を含む。),130局(アンテナ数161)に達している。
 我が国では国際電電が茨城衛星通信所(高萩市)と太平洋上インティレサット衛星を通じて米国,カナダ,メキシコ,オーストラリア, ニュー・ジーランド,中国,香港,フィリピン,タイ等12か国(地域を含む)との間に通信回線(51年度末現在804回線)を設定しており,また,山口衛星通信所とインド洋上インテルサット衛星を通じて英国,西独,フランス,イタリア,スイス,バングラデシュ,インド,シンガポール,サウディ・アラビア,ケニア等27か国(地域を含む)との間に通信回線(51年度末現在871回線)を設定している。
(3) 対流圏散乱波通信(日韓OH回線)
 我が国と韓国との間の国際通信は,現在主として対流圏散乱波通信回線(43年6月開通)によっている。
 日本側の中継所は浜田市に,韓国側の中継所は舞竜山(蔚山の北東10km)にある。最近における通信量の増大に対応するため,48年以来回線を倍増する計画を進めた結果,現在の容量は4kHz電話換算264回線となった。
(4) 短波無線
 短波無線設備としては,小山送信所(栃木県),小室受信所(埼玉県),北浦受信所(茨城県),上野送信所(三重県)及び小野受信所(兵庫県)がある。北浦受信所,上野送信所及び小野受信所は遠隔制御により運用されている。
 現在,短波回線数は対外直通回線全体の1%を占めるにすぎなくなっており,今後の短波回線の国際公衆電気通信面における利用は,広帯域回線のない対地との通信,広帯域回線に障害が起きた時のバッ・クアップ回線及び船舶通信などに限定されてゆくものと思われる。

第2-2-15表 対外直通回線の現況(51年度末現在)

第2-2-16表 我が国の国際海底ケーブル
 

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