昭和52年版 通信白書

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第2節 国際協力

1 通信・放送分野における国際協力

 ここでいう国際協力は,開発途上国に対する技術協力と資金協力からなる経済協力を意味する。
 国際協力は,基本的には先進国が世界各国との共存共栄の原則に基づいて国際共同体の一員としての責任を果たすことであり,その理念は,究極的に人類共同体から貧困を追放するため各国が協力し合い,世界平和を確立することである。国連はこの理念に基づいて1970年代を「第2次国連開発の10年」として,先進国が開発途上国に対する援助の質的,量的向上に努力するよう決議している。我が国は,1970年のOECD閣僚会議の決議に従って開発途上国に対する経済協力全体を国民総生産(GNP)の1%までに,また,第3回国連貿易開発会議(UNCTAD)の決議に従い,このうち政府の財政資金を使って行う政府開発援助(ODA)をGNPの0.7%まで引き上げるよう最善の努力を払う旨表明している(但し,達成期限については留保している。)。
 しかし,我が国の経済協力の実績は,経済協力の中核を占めるODAにつき,その対GNP比率をみると,この数年は48年の0.25%をピークとして,49年が0.25%,50年で0.23%と停滞を続けたあと,51年には0.20%に低下した。
 一方,開発途上諸国は,近年,その経済構造,経済発展段階,資源の保有状況等から,富裕な産油国,その他の一次産品生産国,工業製品輸出国,後発開発途上国(LLDC,開発が著しく遅れている国)又は,MSAC(石油危機等により最も深刻な打撃を受けた諸国)等への分化が進展し,これに伴って国際協力の態様も多様化,複雑化してきているが,国内資源が乏しく,先進国のなかでも開発途上国に依存する度合いが特に大きい我が国にとって,国際協力の推進は国民的な課題として,その重要性,必要性を一層増しつつある。
 通信・放送は,経済・社会の基盤になる施設として不可欠なものであり,その整備状況がその国の経済・社会・文化の発展に与える影響ははかり知れないものがある。開発途上国では,近年,通信・放送の重要性に対する認識が高まり,通信・放送網を整備,拡充するためのプロジェクトが各国で積極的に推進されているが,通信・放送の分野は高度に技術性が強く,多額の設備資金を必要とするため,開発途上国が自力で開発を行うことは難しい状況にあり,先進国からの技術協力あるいは資金協力が強く望まれている。
 このような背景の中で,優れた技術力と経済力を有する我が国に対して開発途上国は大きな期待を寄せており,通信・放送分野における国際協力は今後ますます増大するものと考えられる。
 

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