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3 衛星の高精度姿勢検出・制御我が国の宇宙開発もようやく各種衛星の実用化時代に入りつつある。このような現状において,打ち上げられた衛星を通信,科学探査等の目的により効果的に利用するために姿勢・位置の精密測定及び制御は重要な課題である。すなわち,各種分野における人工衛星打上げ個数の増大,通信需要の増大及び通信形態の多様化に伴い,宇宙通信においてもミリ波等のより高い周波数帯の開発が世界的すう勢となっているが,ミリ波帯による高利得アンテナが用いられるようになると電波のビーム幅が狭くなるので,従来以上に精度のよい姿勢制御と正確な位置の決定が必要となる。高精度の姿勢制御ができるようになれば,更に電波ビームを狭めることにより,周波数の空間的再利用が可能となるので,電波の有効利用にもつながる。 このため,電波研究所では,レーザを利用した衛星の三軸姿勢決定方式を提案し,理論的検討と基礎実験を行ってきた。このシステムによれば,衛星にレーザ受信装置を搭載し地球局から偏光面を回転させたレーザ光を送信することにより衛星の三軸姿勢を高精度で決定することができ,また制御も可能となる。 このシステムの特徴は,高精度のみならず,一方向からのレーザ光受信で姿勢の三要素を決定してしまうことにあり,我が国の独創的な姿勢決定システムとして早期実用化のための研究を進めている。
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