昭和52年版 通信白書

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4 ミリ波通信

 ミリ波を衛星通信に利用しようとする場合,電波伝搬上の最も大きな問題は降雨減衰と降雨による交さ偏波識別度の劣化である。
 降雨減衰は,電波伝搬路上の降雨域の各部分において電波の受ける減衰の積分効果として現われるものであるが,この現象を一層詳細に究明するため,電波研究所では新しい方式の気象レーダな鹿島支所に設置した。この装置が,技術試験衛星ETS-II以後の各種の通信衛星実験において活躍することが期待されている。
 周波数有効利用のため直交偏波にそれぞれ別個の情報を乗せて同時に伝送しようとする場合,電波伝搬上大きな障害となるのは降雨による交さ偏波識別度の劣化である。
 数年来電波研究所では,この問題について,理論研究を進めてきているが,雨滴の落下傾斜角がガウス分布にて変動するものと仮定した場合,従来から用いられてきた「差の伝搬定数」をいくぶん修正することによって,交さ偏波識別等の劣化を容易に計算できる理論式が導かれた。一例として,この方法による計算値は,インド洋衛星にアクセスしている国際電電山口衛星通信所によって求められた測定結果を非常に良く説明できた。
 

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