平成2年版 通信白書

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第1章 平成元年通信の現況

2 国際通信サービスの動向

 (1)国際電気通信サービス

 元年の国際電気通信においては、国際化の進展に伴う国際通信需要増に支えられ、前年に引き続き国際電話の取扱数・専用回線数等は高い水準で推移した。また、新国際第一種電気通信事業者2社が新たにサービスを開始したことにより従来からのKDDを含め3社による競争状態となった。
 ア 国際電話サービス
 元年度上半期の国際電話の取扱数(発着信及び中継信の合計)は、1億5,446万回で、対前年度同期比29.2%増と、この10年間でほぼ16倍になっている(第1-2-26図参照)。
 国際電話の取扱数がこのように急速に伸びた要因は、我が国の国際化と通信技術の進展を背景に、国際電話回線を利用したファクシミリ通信あるいはデータ伝送が広く普及したこと、国際自動ダイヤル通話が我が国の開発途上国を中心とした技術協カなどにより多くの国との間で可能になったこと(昭和48年3月サービス開始当初は4地域、2年4月現在183地域)等による。
 元年10月には日本国際通信(株)及び国際デジタル通信(株)が国際電話サービスを開始した。両社のサービスは国際自動ダイヤル通話のみで、米国、台湾、香港等、我が国との通話数が多い地域から参入しており、両社のサービス提供地域は2年4月1日現在10地域となっている。両社は国際自動ダイヤル通話の料金をKDDより平均約23%低く設定してサービスを開始したことなどから、KDDは元年11月及び2年4月に値下げを行い、我が国の国際電話料金は世界的にも相当低い水準に達している(第1-2-27表及び第1-2-28表参照)。
 イ 国際専用回線サービス
 元年9月末現在の国際専用回線の回線数(KDDと新事業者の合計)は1,498回線であり、対前年同期比で3.6%増にとどまっているが、種類別にみると中高速符号品目は66.5%増と大幅な伸びを示している(第1-2-29図参照)。
 日本国際通信(株)は元年4月に、国際デジタル通信(株)は元年5月に国際専用回ぱサービスの提供を開始している。国際専用回線も、国際電話と同様に新事業者の参入により料金の低廉化及びサービスの多様化が進展している。
 ウ 国際データ伝送サービス
 KDDの国際デ一夕伝送サービスのパケット交換サービスには国際公衆デ一夕伝送(VENUS-P)と国際高速データ伝送(VENUS-LP)がある。
 国際公衆データ伝送の元年度上半期の取扱数(発着信及び中継信の合計)は.184万回であり、対前年度同期比で7.4%減となっている。それに対して、契約数は、元年9月末現在、約1万6,300契約(対前年同期比6.5%増)と着実に増加している。契約数が増加しているにもかかわらず取扱数が減少しているのは、一般・小口利用者が増えたこと及び企業・大口利用者が専用線等の利用に切り換えたこと等による。
 国際高速デ一夕伝送は、G4ファクシミリ機の普及に対応してG4ファクシミリの利用や大量データのファイル転送等を効率的に行うため、国際公衆データ伝送に比べてより高速のパケット伝送サービスを提供するためのものである。国際高速データ伝送の元年度上半期の取扱数(発着信の合計)は2万5,000回であり対前年度同期比21.4%増となっている。
 エ 国際テレックスサービス及び国際電報サービス
 国際テレックスの元年度上半期の取扱数(発着信及び沖継信の合計)は1,132万回で、対前年度同期比で21.9%の減となっている。国際テレックスの需要は、昭和59年度の5,210万回をピークに年々減少の道をたどっている。
 また、国際電報の元年度上半期の通数(発着信及び中継信の合計)は36万通で、対前年度同期比で14%の減となっている。昭和63年度の通数は80万通で、これはピークだった昭和44年度の602万通と比べて約8/1になっている。
 我が国の国際電気通信の中心であった国際電報がピークがら減少に転じたときにその地位に取って代わったのが国際テレックスであった。現在、国際テレックスがら、電話回線を利用したファクシミリの他、専用回線及びデータ伝送等、より大量・迅速・正確でしがも廉価な通信手段への移行が進んでいる。
 オ 国際テレビジョン伝送サービス
 国際テレビジョン伝送の元年度上半期の伝送時間は63万分で対前午度同期比2.2%増となっている。また、国際テレビジョン伝送サービスの利用は昭和63年12月から利用者の資格が特に制限されていない一般用サービスが開始され、元年4月から12月の利用者数は8件であった。
 力 国際電気通信料金の低廉化
 国際電気通信料金については、元年度は新事業者の参入及びKDDの昭和54年度以降第10次の料金値下げにより、料金の低廉化が一段と進展した。
 日本国際通信(株)は元年4月に、国際デジタル通信(株)は元年5月に、国際専用線サービスをKDDに比べ平均20%低い料金で、国際電話サービスを両社とも元年10月に、KDDに比べ平均23%低い料金で開始した。
 一方、KDDは元年8月に国際専用回線について平均17.0%、同年10月に海事衛星通信について平均25.0%、同年11月に国際電話について平均14.3%、国際ファクシミリ通信について平均15.1%、総額261億円(元年度通年ベース)にのぼる値下げを行った(第10次値下げ)。
 なお、KDDは2年4月に国際電話について平均7.7%、総額97億円(2年度通年ベース)の第11次値下げを行った(第1-2-30表参照)。

第1-2-26図 国際電話取扱数の推移

第1-2-27表 国際第一種電気通信事業者の電話料金

第1-2-28表 国際電話の主要国との料金水準比較

第1-2-29図 国際専用回線数の推移

第1-2-30表 KDDの昭和54年10月以降における国際電気通信料金の値下げ状況

 

 

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