平成2年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第2章 国際交流の進展と情報通信

(3)国際交流におけるインバランスの拡大

 ア 流出入のインバランス
 我が国を中心とした国際交流における全体的な流出入のバランスを表 したのが第2-1-15図である。
 20年間を通じ、ヒト、モノ、カネについてはわずかな例外を除き一貫 して流出超過が続いている。一方情報については、逆に20年間を通じ流 入超過が続いている。
 昭和63年においては、カネ(流出が流入に対して8.1倍)、ヒト(同4.3 倍)、モノ(同1.6倍)の順で引続き大きな流出超過となっているが、カ ネ、モノについては近年わずかながら低下している。情報については、 昭和63年度は流入が流出に対して1.4倍となっており、近年流入の超過傾 向は進む方向にある。
 ヒトの交流は、昭和40年代後半に入ると、流入超過から急激に流出超 過に変化し、それ以降については流入に対して3倍前後の大きな流出超 過で推移している。モノの交流は、20年間を通じて流出超過となってい る。カネの交流は、他に比べて大きく変動しているが、20年間を通じ、 昭和55年を除き流出超過となっている。しかし、昭和40年代後半に急激 な流出超過となり、それ以降はほぼ流入に対して6倍前後の流出超過で 推移している。情報の交流は20年間を通じ流入超過であるものの、超過 の割合は他に比べ最も小さくなっている。
 イ 地域別の流出入のインバランス
 ここでは、流出入のバランスについて我が国と世界各地域それぞれの 交流についてみる。
 (ヒトの地域別バランス)
 ヒトの交流の地域別バランス状況を表したのが第2-1-16図であ る。
 北米については、10年前から流出超過の伸びが低下傾向にあるが、近 年、北米からの入国者が減少してきており、再び流出超過が強まりつつ ある。ヨーロッパについては、入国者の割合が徐々に増えつつあり、流 出超過の伸びが低下してきていたが、昭和60年代に入り流出超過が強 まっている。また、他の地域に比べて流出入のバランスが一番とれてい る。アジアについては流出超過率が近年減少傾向にあり、アジアからの 入国者が年々増加していることを反映している。
 昭和63年の流出超過の割合は、北米(流出が流入に対して6.4倍)、ア ジア(同4.0倍)、ヨーロッパ(同2.5倍)の順となっており、世界各地域 とも流出超過である。
 (モノの地域別バランス)
 モノの交流の地域別バランス状況を表したのが第2-1-17図であ る。
 北米及びヨーロッパはともに流出超過が続いているが、昭和53年から 昭和63年の10年間についてみると、北米は流出が流入に対して1.6倍から 同1.9倍への増加となっているが、流出超過は昭和60年をピークに縮小し てきている。ヨーロッパは流出が流入に対して1.9倍から同1.5倍へと流 出超過は縮小傾向にある。
 アジアは、昭和40年代後半から流入超過であったが、昭和60年代に入っ て流出超過に転じ、昭和63年は流出が流入に対し1.1倍の流出超過となっ ている。
 (カネの地域別バランス)
 カネの交流の地域別バランス状況を表したのが第2-1-18図であ る。
 北米については、圧倒的な流出超過が続いている。10年前に低下の傾 向がみられたが、近年では20年前の水準に戻っており、流出超過の割合 は流入に対して32.3倍と高い水準である。ヨーロッパについては、流入 超過、流出超過を繰り返していたが、昭和50年代後半から流出超過とな り、近年では流出が流入に対して2.6倍という割合になっている。
 (情報の地域別バランス)
 情報の交流の地域別バランス状況を表したのが第2-1-19図であ る。
 情報は、20年前においては北米、ヨーロッパが流入超過であり、アジ アは流出超過であった。
 北米については、昭和43年度から昭和53年度にかけて流入が流出に対 して1.2倍から同1.3倍へと増加傾向にあったが、その後は低下傾向にあ り昭和62年度は同1.1倍と流出入が均衡しつつある。ヨーロッパは、他の 地域に比べ一貫して大幅な流入超過となっている。流入超過は、20年前 の流入が流出に対して1.60倍から10年前の同1.4倍へと改善されつつ あったが、その後は再び流入超過傾向を強め、昭和62年度は同1.63倍と 20年前よりも流入超過となっている。 アジアは20年間流出超過となっているが、その割合は低く、昭和62年 度においては流入に対して1.02倍と流出入はほぼ均衡している。
 以上みたように、我が国を中心とした国際交流における全体的な流出 入のバランスをみると、モノ、カネについて流出超過の若干の低下傾向 がみられるものの、我が国の国際交流におけるインバランスは依然とし て高い水準にある。
 北米との関係においては、ヒトは流出超過を強めつつあり、モノは伸 び率は低くなりつつも流出超過は依然として高い水準にある。カネは低 下傾向にあるものの圧倒的な流出超過である。ヨーロッパはモノについ ては流出超過が低下傾向にあるものの高い水準にあり、ヒト、カネにつ いては流出超過が続いている。情報については流入超過が拡大している。 アジアはヒトについては大幅な流出超過が続いており、情報については 流出超過が改善方向にある。モノは流入超過からわずかながら流出超過 に転じている。

第2-1-15図 交流のバランス

第2-1-16図 出入国者数のバランス

第2-1-17図 輸出入金額のバランス

第2-1-18図 長期資本収支のバランス

第2-1-19図 情報のバランス

 

 

(2)相互依存関係の進展 に戻る (4)期待される東欧諸国、中国との国際交流 に進む