平成2年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第2章 国際交流の進展と情報通信

1 情報通信分野における国際交流の推進

 (1)国内情報通信基盤の整備のための課題

 国際交流の進展のためには、世界的な情報通信基盤とこれに接続する各国の国内情報通信基盤の整備が不可欠であるが、開発途上国では、国内情報通信基盤は十分に整備されていない国が多く、世界的に国際交流の進展を図るためには、これらの国々の情報通信基盤の整備が重要である。
 そのための課題として、次の点が挙げられる。
 ア 国情に合った通信システム構築計画の策定
 国内通信網の整備のための協力を行うに際しては、国情に適した、低廉で信頼度の高い通信システムを構築することに努めるとともに、そのための国別の長期・中期・短期の実施計画の策定が重要である。
 この実施計画の策定に当たっては、データベースの構築等により過去に行った途上国に対する協力内容を正確に把握するとともに、過去のプロジェクトにより整備された国内通信網が開発途上国に与えた効果を正確に測定できる計量手法を確立することが重要である。
 イ プロジェクト発掘体制の充実
 効果的な協力を行うためには、開発途上国の国内情報通信基盤の整備にとって必要度が高いプロジェクトを相手国とともに発掘していくことが重要である。
 開発途上国においては、高度な技術知識を必要とする情報通信プロジェクトの策定能力が十分でないことが、情報通信基盤の整備を遅らせる要因の一つとなっている。今後、我が国は、開発途上国におけるプロジェクトの策定能力の向上のための協力を行うことが重要である。郵政省としても、従来、専門家派遣、コンサルタントの活用等に努めてきているが、今後さらに、相手国の情報通信関係主管庁との政策対話の拡充等、プロジェクト発掘のための体制を充実させていくこととしている。
 ウ 人材の養成
 情報通信基盤の開発、運営及び管理を安定的に行っていくためには、そのノウハウを有する多くの人材が必要であるが、開発途上国にあっては、情報通信分野の人材が不足している。今後、開発途上国の情報通信基盤の整備を進展させていくためには、情報通信分野の人材の確保及び養成が喫緊の課題となっている。
 情報通信分野は技術革新の進展が著しい分野であるため、技術革新に追いつく訓練を常に必要としているが、開発途上国にあっては、講師及び施設が不足している。一方、協力を行っている我が国においても、研修に必要な施設、講師及び技術指導を行うための専門家が不足している。
 今後、我が国においては、研修員の受入れを大幅に増やしていく必要がある。そのためには、研修の受入れ体制を量的にも質的にも充実させていくことが重要である。
 なお、CAI(注)の活用、ビデオ等を使った映像による研修の実施、アジア諸国との衛星通信を使った双方向の研修プログラムの実施についても積極的に推進していくことが必要である。
 エ 研究協力の推進
 進展が著しい情報通信分野においては、開発途上国は研究開発力で遅れをとっており、世界経済と開発途上国経済との間に大きな格差を生む要因の一つとなっており、研究開発力の格差の解消が大きな課題となっている。
 この格差を解消するため、研究機関等による共同実験などを通じ研究協力を行い、円滑な技術移転及び人材の養成を図っていくことが必要である。特に、研究協力を行っていく上では、開発途上国の二-ズを把握し、その二-ズに合った研究開発を進めることが重要である。
 オ 国内の基礎的通信網の整備
 開発途上国においては、農村等における情報通信基盤の早急な整備が必要である。しかし、農村等では人口密度が低いため回線当たりのコストが高くなり、資金面での問題から情報通信基盤の整備が遅れている地域が多い。
 資金面での問題の解決のためには、無線を利用したルーラル通信等、低いコストで建設できる情報通信システムの開発、普及が重要である。(注)

国際協力による人材の養成

 

 

第2章第3節 国際交流の一層の進展に向けて に戻る (2)国際間の情報通信基盤の整備のための課題 に進む