平成2年版 通信白書

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第1章 平成元年通信の現況

第4節 通信政策の動向

 1 情報通信の一層の発展のために

  (1)90年代の通信政策ビジョンの策定

 今後の10年間において、社会経済の情報化の均衡ある発展を図っていくためには、国際社会、産業経済、地域社会、国民生活の各分野を視野に入れた総合的な通信政策の立案が必要となる。
 このため、郵政省は、90年代における通信政策の検討に資するため、88年11月から「通信政策懇談会」(郵政大臣の懇談会、座長:斎藤英四郎経済団体連合会会長)を開催し、各分野の有識者による検討を重ねてきたところ、今般、「90年代の通信政策ビジョン」としてその最終報告が郵政大臣に提出された。
 本報告は、「第1部90年代の基本的潮流」、「第2部90年代の情報通信」及び「第3部90年代の通信政策ビジョン」の3部構成となっている。
 第1部では、90年代を新世紀へ向けての変革の時代と位置付け、グローバル・インテグレーションの進展、情報流通を核にしたネットワーク型産業構造の形成、首都圏機能の拡大と地方との格差の拡大、ライフスタイルの変化の4つが90年代の基本的潮流であるとしている。
 第2部では、AI技術等の情報通信関連技術を活用したインテリジェント化・マルチメディア化等のネットワーク機能の高度化、「いつでも、どこでも」アクセスすることが可能なパーソナル・ネットワークの形成が進展し、新しい情報通信サービスが多数開発されるとしている。
 第3部では、90年代において、情報通信ぱあらゆる産業経済活動の中枢機能として、欠くべがらざる役割を果たすものであり、21世紀の社会に向けて社会経済全体の情報化による均衡ある発展が最重要課題であるとの基本視点に立って、以下の具体的な政策が示されている。
 (主要政策)
 ア 国際政策
[1] 基幹グローバル・ネットワークの構築従来の米国を軸に形成されてきた国際通信網の再構築を図るため、現在衛星のみによって結ばれている日欧間を基幹光ケーブルによってネットワーク化し、地球を周回する大容量の基幹グローバル・ネットワークを形成すべきである。
 また、国際通信網を二分しているインテルサットとインタースプートニクとの連携も考慮すべきである。
[2] 情報通信市場の共通化国際間の情報の円滑な流通と各国の情報資源保護のため、各国の通信主権を尊重しつつ、可能な分野、範囲から各国国内通信市場の統合化を推進すべきである。
[3] アジア・太平洋地域の情報通信基盤の充実アジア・太平洋諸国における一体的経済発展を促進するため、域内ネットワークのISDN化を促進するとともに、アジア・太平洋衛星構想アセアン・テレポート計画を推進すべきである。 イ 国内政策
[1] 新しい情報流通産業の創出 企業活動の効率化や快適な家庭生活を実現するため、多様な情報の生産と円滑な情報の流通に資する新しい情報流通産業を創出する必要がある。
 このため、新しいサービス提供事業者に対する企業化情報の提供体制の整備、情報通信産業の先端性に対応した資金調達手段の改善等の公的支援措置を講じるべきである。
[2] 新しい電波産業の創出レジャー分野等における新しい電波産業の形成等を促進するため、長期的かつ総合的な視野に立った電波資源の開発・利用の指針を策定すべきである。また、今後の営利事業目的の電波資源の需要にこたえるため、社会的・経済的価値を評価し、電波資源の最適配分が可能となるような制度を検討すべきである。
[3] 地方におけるアメニティの創生東京一極集中を是正するため、生活利便性、文化的充足等都市生活におけるアメニティを地方にも創生ずることが必要である。
 このため、高度情報通信機能を有するアメニティ都市の建設とそのネットワーク化を図り、情報入手においてコスト面も含めて東京とホモジニアスな環境を地方に創生ずべきである。
 また、全国の郵便局を結ぶ衛星通信ネットワークの構築による地域間情報交流の促進や住民票、パスポートの交付等の郵便局における公的住民サービスの拡充を図るべきである。
[4] ゆとりある高齢社会への移行急速な社会の高齢化が進展するなかで、今後は、技術・知識等の能力、意欲、体力等を有する高齢者が増加する。
 このため、就業、ボランティア活動等の面での高齢者の社会参加を促進するための高齢者の社会参加ニーズ情報の広域的流通を可能とする社会システムの開発、簡易に利用できる端末規格の策定等を行うべきである。

 

 

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