平成2年版 通信白書

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第1章 平成元年通信の現況

(2)NTTの在り方の見直し

 ア 背景
 第2次臨時行政調査会は、第3次答申(昭和57年7月30日)中で、電電公社について、
[1] 電電公社の経営合理化・民営化
[2] 競争導入による独占の弊害除去
[3] 経営管理規模の適正北
の3点をあげ、その経営状態の変更については、中央会社と複数の地方会社に再編成することを提言したが、昭和60年4月の電気通信制度改革に際しては、電電公社は1社体制のまま民営化することとされ、日本電信電話株式会社法の附則第2条に見直し規定を設け、NTTの在り方については5年以内に再検討することとされた。
 同条は、「政府は、会社の成立の日から5年以内にここの法律の施行の状況及びこの法律の施行後の諸事情の変化等を勘案して会社の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定しており、2年3月末がこの期限に当たっていた。
 イ 電気通信審議会の答申
 郵政大臣は、昭和63年3月、電気通信審議会に諮問を行い、2年間五十数回にわたる審議を経て、2年3月2日、「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずるべき措置、方策等の在り方」について答申を受けた。その概要は次のとおりである。
[1] 移動体通信業務を一両年内に分離し、完全民営化する。
[2] 長距離通信業務を7年度を目途に完全分離し、完全民営化する。
[3] 長距離通信業務の分離に当たっては、株主、債権者の権利の確保に十分配慮する。
[4] 市内通信会社の在り方は今後の検討課題であるが、当面1社とする。
[5] 事業部制の徹底、デジタル化の前倒し、接続の円滑化等、公正有効競争の実現、NTTの経営の向上等を図るための所要の措置を講ずる。
 ウ 政府の措置
 政府は、NTTの在り方について検討を加えた結果、公正有効競争条件の整備、NTTの経営の向上等を図るという電気通信審議会の答申の精神を生かし、同年3月30日、「日本電信電話株式会社法附則第2条に基づき講ずる措置」を決定した。その概要は次のとおりである。
[1] 公正有効競争を促進するため、NTTが長距離通信事業部、地域別事業部制を導入・徹底してその収支状況を開示するよう措置するとともに、移動体通信業務を一両年内を目途にNTTから分離して完全民営化する。また、接続の円滑化、内部相互補助の防止、情報流用の防止、デジタル化の前倒し等についても所要の措置を講ずる。
[2] NTTにおいて、徹底した合理化案を自主的に作成し、これを公にし実行することとする。また、政府は、国民、利用者の利益の一層の向上及び電気通信事業の一層の活性化を図るために必要な規制緩和について実施するとともに、NTTが行う株主への利益還元について十分配慮する。
[3] [1]及び[2]の措置の結果を踏まえ、NTTの在り方について7年度に検討を行い、結論を得る。
[4] NTTの研究開発の推進及び標準化活動への寄与について、一層積極的な対応を促進するとともに、我が国の電気通信の発展を図るための総合的研究開発体制の確立について検討する。また、電気通信の安全・信頼性の向上のため、電気通信事業者による中央安全センタの設立について、具体策を検討する。
[5] 上記の諸措置を講ずるに当たっては、必要に応じ、電気通信審議会に所要の諮問を行うこと等により、その着実な推進を図る。

 

 

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