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第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0
第2節 デジタル経済を支えるICTの動向

(2)IoT・AIの導入状況と今後の意向

我が国におけるAIの導入状況は、中国・米国・欧州主要国を下回っている

ボストンコンサルティンググループ(2018)の調査15では、我が国を含む7か国で企業のAI導入状況の各国比較を行っている。AIアクティブ・プレイヤー16の国別の割合は、中国が圧倒的に高く、我が国は7か国中最低となっている(図表1-2-2-9)。産業別にみると、我が国ではテクノロジー/ メディア/ 通信(60%) と金融(42%)では7か国平均との差が比較的小さいものの、その他の産業では差が大きく、後れを取っている状況となっている(図表1-2-2-10)。

図表1-2-2-9 AI・アクティブ・プレイヤーの国別の割合
(出典)ボストンコンサルティンググループ(2018)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」
図表1-2-2-10 各国のAIアクティブ・プレイヤーの産業別の割合
(出典)ボストンコンサルティンググループ(2018)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」

我が国におけるAI/IoTの導入状況は、大企業が中堅・中小企業を、製造業が非製造業を上回る

財務省(2018)を基に、わが国のIoT、AI等の活用状況を概観すると、全体ではIoTが23.1%、AIが10.9%であり、IoT、AIを利用する側の企業に限ればそれぞれ20.6%、9.4%にとどまっている(図表1-2-2-11)。AIとIoT共に、大企業と中堅・中小企業では大企業が上回っており、製造業と非製造業では製造業が上回っている。

また、先端技術の活用目的を見ると、利用側では、業務効率の向上やコストの削減を挙げる割合が高い(図表1-2-2-12)。ICTによる生産性向上にはICT利用産業での付加価値創出がカギであったという1990年代から2000年代にかけての米国での教訓を踏まえると、IoT、AIについても利用側で付加価値創出に資する利用を促進していくことが重要となると考えられる。

図表1-2-2-11 国内のAI、IoT活用状況(全体、規模別、業種別、提供/利用側別)
(出典)財務省(2018)「財務局調査による 「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について」
図表1-2-2-12 先端技術の活用目的(提供/利用側別)
(出典)財務省(2018)「財務局調査による 「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について」


11 我が国の国民経済計算では、ソフトウェア投資額に、パッケージ型ソフトウェア、受注型ソフトウェア、自社開発が含まれるが、それぞれの内訳は公表されていない。

12 情報システムをゼロから開発するものをスクラッチ、既存のパッケージ製品等を基に改修して開発するものをカスタマイズという。

13 日本情報システム・ユーザ協会(2019)「企業IT動向調査2019(2018年度調査)」

14 経済産業省(2018)「DXレポート」は、老朽化した既存の「レガシーシステム」が、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない状況をもたらすとともに、既存システムを放置した場合、技術的負債(短期的な観点でシステムを開発し、結果として長期的に保守費や運用費が高騰している状態)が増大する懸念があるとしている。

15 アンケート調査期間:2018年9月〜10月
・調査対象国:アメリカ、オーストリア、スイス、中国、ドイツ、日本、フランスの7カ国
・調査対象者:中小企業(従業員数250人未満)から大企業(従業員数50,000名超)までの、AIに関する基礎的な理解を有する管理職
・回答者数:約2,700名

16 「AIアクティブ・プレイヤー」の定義は、「一部の業務をAIに置き換えている」または「一部の業務でAIのパイロット運用を行っている」のいずれかに該当し、かつ自社のAI導入を「概ね成功している」と評価した企業

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