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第2部 基本データと政策動向
第5節 サイバーセキュリティ対策の推進

(2)人材育成に関する取組

我が国のサイバーセキュリティ人材は質的にも量的にも不足しており、その育成は喫緊の課題である。サイバーセキュリティ戦略(2018年(平成30年)7月27日閣議決定)においても「産学官が連携して人材の需要や人材育成施策に関する情報共有等の連携を図りつつ、人材育成・確保を強化していく。」と言及されているとおり、政府一丸となってサイバーセキュリティ人材の育成に取り組んでいる。

巧妙化・複合化するサイバー攻撃に対し、実践的な対処能力を持つセキュリティ人材を育成するため、2017年(平成29年)4月より、NICTの「ナショナルサイバートレーニングセンター」において、サイバーセキュリティ人材育成の取組(CYDER、サイバーコロッセオ、SecHack365)を積極的に推進している。

CYDERは、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人及び重要インフラ事業者等を対象とした実践的サイバー防御演習である。受講者は、組織の情報システム担当職員として、チーム単位で演習に参加し、組織のネットワーク環境を模した大規模仮想LAN環境下で、実機の操作を伴ってサイバー攻撃によるインシデントの検知から対応、報告、回復までの一連の対処方法を体験する。2018年度(平成30年度)は、全国47都道府県で全107回の演習を実施し、2,666名が受講した。2019年度(令和元年度)も同規模で実施予定である(図表4-5-2-3)。

図表4-5-2-3 実践的サイバー防御演習(CYDER: CYber Defense Exercise with Recurrence)

サイバーコロッセオは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた大会関連組織のセキュリティ担当者等を対象者とした実践的サイバー演習である。大会本番を忠実に再現した仮想のネットワーク環境上で、実機を操作しながら、本格的な攻防戦等を繰り返し実施し、2018年度(平成30年度)は延べ137名が受講した。さらに、2018年度(平成30年度)からは、講義形式によりセキュリティ関係の知識や技能を学ぶコロッセオカレッジを開設し延べ347名が受講した。2019年度(令和元年度)も、さらなる内容の充実や受講機会の拡大を図りながら大会関連組織のセキュリティ担当者等を育成する予定である。

SecHack365は、未来のセキュリティイノベーターの創出に向けて、25歳以下のICT人材を対象に、NICTの持つ実際のサイバー攻撃関連データを活用し、第一線で活躍する研究者・技術者が、セキュリティ技術の研究・開発等を1年かけて継続的かつ本格的に指導するプログラムである。2017年度(平成29年度)は10歳から24歳の39名が、2018年度(平成30年度)は12歳から24歳の46名が1年間のプログラムを修了した。2019年度(令和元年度)以降も、育成プログラムの質の向上を図りつつ、同規模で実施予定である。

また、特に人口減少が急速に進む地方において、サイバー攻撃に対処可能な人材の育成・確保は大きな課題となっていることから、2018年(平成30年)12月からサイバーセキュリティタスクフォースの下に「サイバーセキュリティ人材育成分科会」を開催した。同分科会の取りまとめも踏まえ、地域におけるサイバーセキュリティ人材育成のエコシステムの構築に向け、地域の中小企業や自治体等のサイバーセキュリティに関する意識向上や取組を促進するための研修等、地域のサイバーセキュリティ人材の育成に取り組むこととしている。

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